依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第58章 新しい道へ
「器用なのね」
子どもたちに囲まれるシャンクスに声をかけた🌸。
「なに、船長の真似事さ」
「せんちょーさん?」
膝に座るハナの頭を撫で、そうだ、と笑いかける。
「かっこいい船長だぞ。
強くて、面白くて、楽しい人だった」
そう言ったシャンクスに、椅子の後ろに立っていたリナが問いかけた。
「もういないの?」
目線を上げたシャンクスは、ああ、と頷いた。
「きっと、あの向こうを航海中だろう。」
よく晴れた空を指さして穏やかに笑うシャンクス。
「国境も税関も無い場所だ。
好き勝手に行き先を決められる」
その意味を正しく理解したリナと男兄弟たちは、そっか、とだけ言い、言葉のとおりに受け取ったハナだけが、飛行機に乗ったらせんちょーさんに会える?と問う。
「会えたらいいんだけどな。
空と宇宙の境目より遠いところにいるからな」
「じゃあ、ロケットに乗っていく?」
ビューンって!と手を広げる無邪気に微笑む。
すっかり打ち解けたきょうだいたちと🌸との昔の事や、自身の仕事の話から派生した学生きょうだいの進路の話なんかをした。
✜
「新郎新婦様のご準備が整いました」
係員の言葉に、🎀姉の準備ができたよ、と小さい弟妹の手を引く。
「教会に行くの?」
「ううん。まずは🎀姉のドレス姿を見に行くよ」
「🎀姉、綺麗かなぁ」
リナがワクワクした表情でタクの手を引く。
こちらです、と案内された部屋。
開かれた扉から、🎀姉!と子どもたちが駆け込んでいく。
「シャン?」
入らないの?と通路に立つ姿に首を傾げる🌸。
「🌸はいいとして、親でも兄弟でもない俺が、新郎より先に新婦の姿を見るわけにいかないだろ」
そう?と瞬く🌸に、少なくとも俺は嫌だ、と促す。
「ここで待ってる」
行って来い、と言うシャンクスに、わかった、と控室へと入った。
✜
「🌸ちゃんっみんな!」
ハートカットにプリンセスラインの純白ドレス。
亜麻色の髪をアンダーシニヨンに纏めた🎀にリナが目を輝かせた。
「🎀姉、すごくきれい」
可愛い、と口々に言う弟妹に、ありがとう、と細まる瞳に薄く、涙の膜が張っている。
🌸はツン、と痛む鼻の奥に、本当に綺麗、と頷いた。