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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第58章 新しい道へ



 ✜

ポーン、と放られたコインが空中でくるくると回る。

パン、と鳴った手が左右それぞれで握られる。
さあ、選べ、と言うシャンクスの膝の上に座っているハナが、こっち!と左手の拳を掴む。

「「俺、こっち」」
右手を同時に選んだサクとリクが、一瞬互いを睨み合い、リクだけが、やっぱコッチだ!と左手に変えた。
「僕は、こっちにします」
タクは右手を選び、リナはしばらく悩んでから、こっち、かな?と左を選んだ。
「🌸ちゃんは?」
ハナに聞かれ、えっとねぇ、と悩んでみせる。

「どっちだろうなぁ?」
さっきは右だったから、と左手を選ぶ。

「ねー、正解は?」
待ち切れないハナが掴む右手を開く。
よっしゃ!と喜んだリクと、ちえ、と舌打ちしたサクに、シャンクスは笑顔で左手も開いた。

「どちらも空っぽです」

タクの言葉に、ええっ?!とリクとサクの声が重なる。

「どこに行っちゃったの?」
膝の上から見上げてくるハナに、どこに行ったんだろうなぁ、と笑顔で問うシャンクス。
「お、そっちか」
ほら、と隣に座るリナの右肩に右手を伸ばす。
「あった」
右手の指先に挟まれたコインに、ええーっ!?とハナとタクの声が重なる。

「あ、逃げた」
一瞬でシャンクスの右手から消えたコインを、どこー?と、ハナとタクが辺りを探す。

「ほらほら。帰って、来た!」
何も無い空中をなぞる指先を目線で追い、何かを掴む仕草をしたシャンクスの左手からコインが出てくる。

「おっちゃん、手品うますぎ」
すげぇ、と笑うリクに、おっちゃん言うな、と笑うシャンクス。
「どうやってんの?」
まじでわからん、と言うサクに、種明かししてやろうか?ともう一度コインをトスする。
「「え?」」
すでにそこに無いコインに、子供たちは目を丸める。

「こっちに入れてんだよ」
ここ、とシャンクスは、シャツの袖の裏に挟まるコインを見せた。
「おっ、ここか」
目線を落としたシャンクスにつられて目線をおろす子供たちにまた笑う。
「今のうち、今のうち」
囁くシャンクスの声に目線を戻した。
ゆっくりとコインを掌に戻し、指の合間に挟む。

「こっちだけ見せれば見えないだろ?」

後は、と手早く手を動かす。

「伸ばした手が相手の死角に入ったところで、」

くるりと指先でコインを回した。
わかんなかった!と目を輝かせるハナの頭を撫でる。
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