依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第57章 オーロジャクソンハウス
✜
抱っこ、と甘えるウタを片腕に抱き上げ、学校で楽しかった事や祖父に怒られた話を絶え間なく話すルフィと歩く後ろ姿。
ぼんやりと、その隣に写真の影が浮かぶ。
(もしかして、ウタちゃんは)
嬉しそうにシャンクスに抱きつくウタの笑顔に、写真の笑顔を思い出す。
似ているのかは、よくわからない。
シャンクスとウタに、血の繋がりはないと言っていた。
(知らない、気づいてないだけってことも...)
ハウスに写真があったということは、彼女も彼の生い立ちは知っているのだろう。
何かの都合で彼に真実を告げられず、娘だけを託したかもしれない。
「🌸っ」
大きな声にハッと顔を上げると、前を歩いていたはずの4人が後方にいた。
舗道を少し戻った商店の前に立つシャンクス。
どうした?と駆け寄ってきたシャンクスに、なんでもない、と借りた帽子の広い鍔を少し、下げた。
「あのお店、昔からあるの?」
「うん?ああ。元は酒屋で、よくロジャー船長やレイリーさんが隣の角打ちで飲んでて、俺やバギーは隣の駄菓子屋の菓子を食い漁ってた」
「駄菓子屋さんかぁ」
行ってみるか?と手を引かれ、少し建付けの悪いガラス扉をひいたシャンクスについて入る。
小袋に入ったせんべいやクッキー。
サイコロ模様の箱に入ったキャラメル。
プラカップに詰められた金平糖に、おまけのおもちゃの方が大きいガム。
柱から吊るされた台紙に埋まるくじ引きの景品やキャラクターの形のチョコレート。
先に入っていたウタとルフィは早々に過去にお菓子を詰めている。
低めの商品棚にずらりと並ぶお菓子に、懐かしいなぁ、とシャンクスが少し身を屈める。
「はいはい、いらっしゃい」
よっこいしょ、とゆっくりと奥から出てきたのは、腰の曲がった高齢の女性。
「うーん?ルフィじゃないねぇ」
まだ売ってんだな、この手の飴。と棚の間に屈み込んでケース付きの棒付き飴を手に取るシャンクスを見る。
はて、と凝視する店主らしき女性。
「むかーし、そんな髪の色の男の子がよく来てたけど...ええっと、なんて名だったかねぇ」
思い出せないねえ、と文机に座ると、何にするんだい?と使い込まれたそろばんを取り出した。