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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第57章 オーロジャクソンハウス



以前も見た壁の写真。
壁に沿って沢山の写真が貼り付けられていて、一番奥の写真に目が留まる。
「バギー社長?」
赤い丸帽子の男の子には既視感があって、写真の下のテープには-xx年 バギー 誕生日-とある。
8月の日付のそれには、楽しそうに笑う赤い髪の男の子。
「かわいい」
ふふ、とその顔に笑みが溢れる。
どうやら、8月の誕生日を祝っている様子のようで、3月のものがないかと他の写真に目を向ける。

-xx年 シャンクス 誕生日-のテープを見つける。
その写真に、そっと手を伸ばした。
中央に写る男の子の顔に触れる直前、その手を掴まれた。
「なに見てるんだ?」
背中を包む体温に、ゆっくりと見上げる。
「ん?」
いつもの笑顔のシャンクスに、写真へと向き直る。

「お誕生会、楽しくなかった?」
そこには、不機嫌そうな幼顔。
周りの大人や子どもたちは、盛り上げるためか、カラフルな帽子やおかしなメイクで笑っている。
その中央付近。
主役と思わしき位置の端で椅子に座っている手には、バースデーメッセージの寄せ書きを持っているが、ニコリとも笑っていない。

これな、とシャンクスの眉が下がる。

「楽しくないわけじゃないんだ。ただ、誕生日が苦手で...」
思わぬ言葉に見上げる。
「にが、て?」
「この頃は、『生まれてきたことを祝う』日だと思っていた。『生んでくれたことを感謝する日』だと」
あ、と写真に向き直る🌸。
力無く笑ったシャンクスは、確か、と少し明るい声で壁の写真を見渡す。
あった、と離れた場所に向かう背中を追う。

「このあたりだな。誕生日が何なのか、自分で納得できたのは」
懐かしい、と目を細める。
「いつも3月の誕生会を楽しめない俺に、船長が言ったんだ。
『お前たちの誕生日は、俺達の『家族』になった日じゃないか』と」
「家族に、なった日」
ああ、と頷き、目線を下ろす。

「3月9日。船長とレイリーさんが俺を保護してくれた日だ」
「そう、だったの?」
もう30年近く経つんだなぁ、と目を細める。

「俺にとっては、それが誕生日なんだ」
優しく、🌸の肩を抱き寄せた。

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