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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第56章 Hope


行ってらっしゃいませ、と外で頭を垂れている人たちに会釈を返す。

車で、昨夜来た道を逆に辿る。

「びっくりした」
朝からの非日常的な様を思い出して感嘆していると、いつも通り握られる手。

「あそこは元々、船長の別荘兼迎賓館だったんだ。船長が死んで、レイさんもOJの経営から引くってなって、取り壊すのは勿体無いからバギーのところとREDForceで買い取った」
よく晴れた空から、燦燦と日光が降り注いでいる。

「造りを活かしてホテルに改装した。そういうことなら、と元は管理人で、老舗旅館の次男であるキリヤさんが支配人として仕切ってくれることになった。『バギーズデリバリー』と共同経営で、お互いの社員が福利厚生で使える保養所も兼ねてる」
それであの出迎えとお見送りね、と頷く。

「言っとくが、あれはバギーの趣味だからな。同じ経営主で差をつけるわけにいかないないから、と形だけやってるだけなんだ」
「なるほど」
ちょっと納得、とクスクス笑う。
「好きそうよね、バギー社長」
「毎回用意する従業員のことも考えてやれって話だ」
昔からああいう派手なのが好きなのだ、と笑う横顔。


「これ、頂いちゃったけど良かったのかな?」
膝の上の紙袋を覗き込む。
何も知らない、というシャンクスが手を離して開けていい、というので箱の蓋を開ける。

「わぁ!」
そっと引き上げて、サイドガラスから差し込む日光に透かす。
「サンキャッチャーか」
「きれい」
はんだ付けされた様々な形のガラスが織り成す、幾重にも煌めくプリズムが車内を彩る。
「シーグラスなのかな?」
くすみのある欠片を指先で掬う。
あー、そういうことか、と頷くシャンクス。

「どういうこと?」
「キリヤさんの趣味なんだ。浜辺で拾ったもので色々作るの」
「えっ!じゃあこれ、手作り?」
多分な、と言う答えに、すごい、と感嘆する。

「ダイニングのペンライト、アレもキリヤさんの作ったやつだぞ」
ペンライト、と過ごし慣れた部屋を思い出す。
「あ、あのランプシェード?」
特に装飾品のない部屋で凝った作りのものだな、と目を引いていたが、そういうことなのか、と納得する。
「すごい。これで食べていけそう」
サンキャッチャーの煌めきに目を奪われている様子に、シャンクスは強く再び、手を握った。
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