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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第56章 Hope


エレベータでロビー階に降りると、おはようございます、とずらり、と並んだポーター達に迎えられ、ビクッと隣に縋った。
ホワイトグローブの手でシャンクスからルームキーを受け取ったのは、中年層の男性。

「この度は至らない点が多く、ご迷惑おかけしました」
恭しく頭を下げ、ロビーのソファへ案内してくれる。
「いや、迷惑かけたのはこっちだよ。突然、悪かった」
「滅相もない。いつでも、従業員一同、心より喜んでおもてなしさせていただきます」
自分の祖父母世代、それよりも高齢に見える。シルバーヘアをきちんと整え、スタンディングカラーのシャツにグレーのネクタイを掛け、燕尾のジャケットを着ている。

(執事さんみたい)
某亡霊一族に仕える家令を思い出させる風貌。
「奥方様も、ごゆるりお休みただけましたでしょうか」
シャンクスと彼に見つめられ、え?と首を傾げると、なにか行き届かぬところが?と問われる。
「どうなんだ?奥方様」
笑みを携えた口元で問うてくるシャンクスに、自身を指差す。
「え?あ、私?」
ええ、と頷く男性は、おや、と首を傾げる。

「マキノ様から、シャンクス君がご婚約をされたとお聞きしておりましたので、てっきり」
「いや、彼女で間違いない」
🌸だ、と簡単に紹介されて、ペコリ、と頭を下げる。

「当ホテル、『オーロジャクソンオリエンタル』にて総支配人を務めさせていただいております、キリヤと申します」
胸を手を当てて頭を垂れる。
「あ、🌸、と、申します。お見知り置きください」
堅いな、と笑うシャンクスに恥ずかしさで目を彷徨わせる。

「感慨深いですねぇ。つい最近まで近辺で遊んでいらしたシャンクス君がご結婚とは」
「ははっ!キリヤさん、年取ったな」
「そろそろ若い方に後任を任せ、隠居したいものです」
ホッホッと笑って立つ姿に雰囲気がある。

「改めまして、心よりご婚約、お祝い申し上げます」
並んでいたポーターから受け取った包みを差し出すキリヤ。
「ささやかではございますが、ご笑納ください」
シャンクスに促されて受け取る。

「ありがとうございます」
「またのご利用、従業員一同、お待ちしております」
柔らかい笑顔に見送られ、すでに荷物が積み込まれ、正面に回された車に乗り込んだ。
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