• テキストサイズ

依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第56章 Hope


シャンクスは、車を降りて片手で二人分の荷物を手にすると、🌸の手を引く。
恭しく頭を垂れるボーイにカーキーを預けると、スタスタと歩き出す。

「ねえ、ココ...」
ぼんやりと浮かび上がるように照らし出される建物を見上げる。
「空いてる部屋でいいって言っちまったから、どんな部屋かは入ってみねぇとわからねぇ」
そうでなく、と手を引かれるままロビーに置かれたソファに掛ける。
待ってろ、と荷物を置いてフロントに行く背中。


「お待ちしておりました、代表」
「悪い、無理を通してもらった」
「とんでもないことでございます。お二人とのことでしたので、スイートでご用意させていただきました」
「ああ、助かった」
「おくつろぎください」

🌸、と声をかけられ、ぽやんと見上げていた顔を慌てて下げる。

「行くぞ」「あ、は、はい」
手を取られて立ち上がる。
荷物、と振り返ると、臙脂色の制服を着たポーターがいつの間にかついていて、お任せください、と笑いかけられた。
通路に等間隔で並ぶ間接照明も、通路に飾られた絵画もすべてが非日常を作り出す。
つい、キョロキョロと見回してしまう。

「お伽噺のお城みたい」
「なら、🌸はお姫様だな」
「え、じゃあシャンクスは王子様?似合わないよ」
おい、と言ってケタケタと笑う。
「どちらかといえば王様じゃない?会社だって国みたいなものだし」
「おっ。俺に王政を握らせるか?一瞬で国が崩れるぞ」
「ねえ、それ自分で言っちゃう?」
エレベータの中で、ふふ、と笑う声がする。

「も、申し訳ありません」
口元を隠すポーター。彼が咳払いをすると、ちょうどエレベータの扉が開き、こちらです、と案内される。

開かれた扉の先。
高い天井を見上げながら、🌸は部屋の奥へのすすむ。
何なりとお申し付けください、と頭を垂れるポーターにシャンクスはチップを渡した。

辺りを見回してクルクルと回っている🌸。
既視感のあるそれに、シャンクスは(モールのオープニングレセプションの時だ)と思い出し、まだ一年も経っていないその日を懐かしんだ。

部屋を探検する🌸を眺めていると、ふと目が合う。
「感想は?」
カウチに上着を放ってソファに腰掛ける。
「驚愕と高揚とワクワク!」
興奮で染まった頬の笑顔に、心音が大きく鳴った。
/ 290ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp