依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第55章 思わぬ再会
高速に乗る前に夕飯を済まそうと、ハンバーグが食べたいというウタのリクエストでレストランに寄った。
「ねぇ、パンケーキ頼んでいい?」
メニューのホイップたっぷりの厚焼きパンケーキを指差すウタ。
付け合せの人参のグラッセを差したフォークを咥えたシャンクスは、ウタの前にある皿に目を向けた。
「人参食ったらな」
「お腹いっぱいだもん」
「じゃあパンケーキも食べれないな」
シャンクスに言いくるめられ、むむ、と人参を睨むウタ。
ウタの隣に座っていた🌸は、案外厳しいなぁ、と和定食の味噌汁を飲み干す。
「うー...🌸ちゃん、人参、好き?」
「好きよ?甘くて美味しいよね」
じゃあ、とフォークに人参をさすウタ。
「🌸にやったらパンケーキ無し」
シャンクスに先手を打たれ、ウタは人参を睨む。
「シャンクス、コーヒーは?」
「ああ、頼む」
空いた食器を通路側に寄せ、近くを通った店員を呼ぶ🌸。
「人参食べなくても困らないもん」
「パンケーキだって食わなくても困らないだろう」
言い負けて、うう、と睨んでくるウタを躱して水を飲むシャンクス。
「すみません、追加でホットコーヒーとこのパンケーキを一つ」
「おい、🌸」
向かいで厳しい目を向けるシャンクスを、まあまあ、と抑え、ウタを覗き込む。
「ウタちゃんにお願いがあるんだけどな?」
お願い?と首を傾げるウタに人参を指差す。
「パンケーキ、私も食べたいんだけど全部は食べられそうにないから、半分食べてくれない?そのかわりっていうのもなんだけど、その人参、私が半分食べるから」
半分食べる、という言葉に、いいのっ⁉のウタの目が輝く。
「パンケーキと人参、半分ずつ交換ね?」
「オッケー!いいよねっ?シャンクス!」
半分だぞ、と念を押され、切り分けた人参をせーのっ、で一緒に食べた。
明らかな差をつけて切り分けられたパンケーキ。
ウタちゃんの分ね、と差し出し出されたそれに、うん!と幸せそうなウタ。
机の下。
シャンクスのスニーカーのつま先が、🌸のショートブーツにあたる。
チロ、と赤い舌を出す🌸。
「おいしいっ!」「人参食べて偉いねぇ」
嬉しそうな二人の顔に、まったく、とカップを持つシャンクスの口角が少し、上がった。