• テキストサイズ

依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第54章 小さな訪問者


グズグズとしていた声が寝息に変わり、抱きかかえていた身体をそっとソファに寝かせる。

「掛けてあげて」「ああ、ありがとう」
寝室から持ってきたブランケットを受け取ったシャンクスは、そっとウタの体にかけて、彼女が横になる側辺のソファに腰掛ける。


「ウタは、俺が拾ったんだ」
おいで、と叩かれる隣に腰掛けると、丸くなって寝ているウタに目線をやる。
「18の時だから...そうか、もう12年も前か」
早いな、と今も鮮明に思い出せる記憶に目を細める。

「大学に入った秋だった。いつもみたいにレイリーさんに会いにハウスに行ったら、庭先に見慣れない籠があって...
レイリーさんが何か隠してるのかと思って開けたら、中に赤ん坊がいて」
あ、とウタを見た🌸に頷く。
「キョトンと見上げて、なんか言いながら手を伸ばしてくるから抱き上げたら、こんなちっこくて」
こんぐらい、と赤ん坊を抱くような手つきをする。

「とりあえずクロッカスさん...医者の先生に診せに行って...けど、離れてくれなくてなぁ。
それまですげぇ笑顔だったのに、俺が降ろそうとするとしがみついてきて、レイリーさんたちが手を伸ばすだけでギャーギャー泣いちまって」
同じ髪色を持つ彼に、なにか感じ取ったのかもしれない。

「そりゃもう、怪獣みたいに泣き喚くもんだから、まずは泣き止ませようとあの手この手であやして...何やっても泣き止まねぇから、もう寝るまで諦めようって」
あの時もずっと抱っこしてなぁ、と懐かしそうに笑う。
「以来、ウタはハウスで面倒見てもらうことになって、時々、様子見に行ってたんだ」
あの日もそうだった、とシャンクスは苦笑いした。

「あの日?」「既婚者疑惑かけられた日」
横目に向けられた視線に、あはは、と笑って誤魔化す。
「一緒にいたのはルフィ。あいつも、爺さんがいるんだが、普段面倒見てやれないとハウスでウタと過ごしている」
ルフィにも会わせよう、と身じろいだウタの長めの前髪を払う。


「ウタちゃんは、シャンクスの娘なのね」
微笑んでいる🌸が、紅茶のカップに口をつける。
「娘...そうだな」
お転婆な娘だ、と笑う顔に🌸も笑う。
「母親は、🌸だな」
「9歳年下の娘っ⁉」
せめて妹!と言う🌸に、姉妹もいいなぁ、とカップで緩む口元を隠した。
/ 290ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp