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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第54章 小さな訪問者



  [た~だひと〜つのーゆーめ〜♪
   決してゆーずれ〜な~あーいー♪]

優しい、温かな歌声がテレビから流れる。
師に撮ってもらった、と今日の発表会の様子をウタのスマホをつないだテレビ画面に流している。

軽やかに伸びる歌声は、機械からのものなのにとても心に響く。
ソファにかけるシャンクスは、慈しみを持った瞳で発表会の様子を見つめている。その横顔を、緊張しているような、期待しているような目で見上げるウタ。

  [お~うな〜ばら〜をかーける♪
   あた〜らしい風に〜なれ~〜♪]

「うまくなったなぁ、ウタ」
「そう?えへへ」
うまいうまい、と頭を撫でられて、緊張していた顔が緩み、頬を染めてはにかんでいる。
「ごめんな、見に行ってやれなくて」
「しょうがないから許してあげる!あっ、そうだ!今度は🌸も来てほしい」
クルッと振り返ってソファの上に膝立ちになり、背もたれ越しに🌸へ声をかける。

「ウタ、『🌸ちゃん』か『🌸さん』」
シャンクスがちゃん付けで呼ぶのは違和感あるなぁ、と、不服そうな顔で背もたれに顎を乗せるウタに頷く。
「シャンクスは『シャンクス』じゃん」
「マキノさんは『マキノさん』って呼んでるじゃないか」
「うっ...だって🌸とは友達がいいんだもん!」
シャンクス用のミルクコーヒーとウタ用のハニーミルクを運ぶ。

「ウタちゃんが好きに呼んでいいよ。あと、シャンクス、あなたも始めっから『🌸』呼びだったのをお忘れなく」
そうだったか?と惚けようとするシャンクスをふふーん、と得意げに見上げたウタは、ミルクのマグを取る。


「ふたりは、結婚するの?」
コクリ、と飲んだミルクの水面を見つめるウタ。
へっ?と🌸は固まる。
「まあ、いずれは、な」
マグの縁に唇を当てて、ちら、と目線を寄越すシャンクスに、あ、う、と俯いてしまう。
そっかぁ、と膝を抱えたウタに、シャンクスが聞く。

「急にどうした?」
「エースが『いつかマキノさんと結婚するだ』って言ってた。ハウスより遠いところに家を買って二人で暮らすんだ、って。ルフィもいつか出て行っちゃうのかな」

一人ぼっちになっちゃう、と膝に顔を埋めたウタの肩を引き寄せ、シャンクスは慰めた。
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