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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第54章 小さな訪問者


「そうそう。くるーっと回して...」
ダイニングセットの椅子に乗ってキッチンカウンターに立つウタ。その後ろから、フライパンを一緒に持つ🌸。

「卵とご飯入れたら、コンコンコンって切るように混ぜてね」
と、ウタに木べらを持たせる。
溶き卵とご飯をフライパンに入れた🌸に言われたとおり、ウタが木べらでコンコンとご飯をほぐす。
「焦げ付かないように、下から掬って混ぜる」
「すくって、まぜるっと」
少し緊張した面持ちで、ウタは一生懸命に混ぜる。
「はい、キムチ入れまーす」「うん!」
よいしょ、よいしょ、と多めのごはんを返すウタ。

後ろからウタの手を取り、一緒に混ぜる。
「火を止めて、ネギとごま入れます」
もう一回混ぜてね、と🌸に言われて、ウタはよいせ、よいせとかき回す。

「できたー!」
木べらを持つ手をあげて喜ぶウタ。
「盛り付けるから、運んでもらえる?」
「うん!」
ふたりで作ったキムチチャーハンを器に盛る。シャンクスさんの分ね、と、多めに盛ったお皿を落とさないように両手で渡す。

ダイニングにかけて様子を見ていた彼に、慎重に運ぶウタ。
「お、うまそうだな」
「私が作ったの!ねぇ!早く食べてっ!」
スプーンを手に取ったシャンクスに、ワクワクとした顔で飛び跳ねながら輝く瞳を向けている。
辛いのはヤダ、と言うウタのためにキムチを使わずにピラフ風に仕上げた炒飯と、ピクルスの瓶に入り切らなかったトマトときゅうりで作った簡単なサラダをテーブルに運ぶ。

「うまいっ!」「ほんとっ?」
本当!と笑うシャンクスに、ウタはやったー!と跳ねて喜んだ。
「よかったね、ウタちゃん」
「えっと、うん...ありがとう」
頬を紅潮させて上がる口角を抑え込んでいるような表情で、モジモジと手を動かす。

(ほう、ウタがこの短時間でここまで)
お水と牛乳、どっちにする?と聞く🌸に、少し悩んで、牛乳を指差すウタ。
コップに注がれた牛乳を慎重に運んで、寝室のクッションで高さを調整した椅子に座るウタが、座って、と隣の席を叩いて🌸を呼ぶ様子を眺め、シャンクスは目元をゆるませた。
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