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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第54章 小さな訪問者


「🌸、それやめろ」
「え?」
髭を剃って着替えてきたシャンクスから突然言われた言葉。

「下、変えろ」「はい?」
ニットカーディガンの下に着たタンクトップ。
「これ?」「胸元、開きすぎだ」「そう?」
髭を剃り落とし、随分幼く見える彼は、Vネックのレースがあしらわれたそれが気に入らないらしい。
「下着見えるわけじゃないし」
「それ自体、下着みたいなもんだろう」
変えろ、と煙草を持ってベランダに出たシャンクス。

自分は無頓着なくせにっ!と、無地の濃紺のカットソーに黒のテーパードパンツの背中を睨む。


中をラウンドネックの白のノースリーブに変える。
一本吸って部屋に戻ったシャンクスに、どう?とくるりと回って見せると、頭の先から足元まで確認して、ニットのボタンを留められた。
「細かいなぁ」
「ボディラインが丸わかりだ」

カットソーの深めの襟ぐりから見える彼の鎖骨のラインに、ムッと口を紡ぐ🌸。
7部袖のそれから伸びる筋肉の筋が目立つ浅灼けの腕。
「そのままお返ししますよ」
ボソリ、と呟いた声はシャンクスに届かず、携帯、煙草、カードケースと最低限の荷物だけ持って、行くぞ、と言う背中。


「なんだ、むくれて」
エレベータ前で、ヒールを履いてもスニーカーの彼には到底届かない顔を、別に、と背ける。
「なんだよ」
ぐいっ、と腕を引かれて、彼の腕の中に引き込まれる。
「やっ、離してっ」「じゃあ話せ」
腰のあたりで組まれた手によってできた輪の中に封じ込められる。彼が羽織る黒のパーカーの捲くった袖を掴む。

「ボディラインがわかるのはお互い様かな、と」
「男のがわかったところでなんの得がある?」
本当に無頓着だなっ!と滑らかな頬をムニムニと摘む。

「人の格好にいちゃもんつけるならご自身のことにも執着してくださーい」
「俺はどうだっていい。野郎に🌸の身体を見られるのは死活問題だ」
「...そのままお返ししてやろうじゃないか」
「なんのことだ?」
頬を摘まれたまま首を傾げるシャンクス。

「色気垂れ流すのも大概にしてね、って話」
「🌸がか?」「...もういい」
この天然たらし、と滑らかな頬を撫でて歩み下がる。

「っ離して」「嫌だっつったら?」
スリスリと頰を擦り付けてくる長躯に、もう、とため息をついて彼のパーカーの裾を掴んだ。
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