依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第54章 小さな訪問者
放置していた携帯を確認すると、秘書と部下からの着信とメール。
メールを開くと、離席直後から所在や行き先を問う内容が何度も来ている。
「どうすっかなぁ...」
出社している可能性が高い秘書課の内線にかける。
「まずったなぁ」
🌸の事ですっかり頭から抜け落ちていた。
恋人が、と言えずに、身内が倒れた、と言ったので、社内の人間と思っているかもしれない。
-おはようございます。株式会社REDForce 秘書部秘書課調整係でございます-
「お、おはよう。俺だ」
アメリの声に、都合がいい、と口角が上がる。
-っお疲れ様です!あ、昨日は、あの-
少し声を潜めるアメリに、大丈夫だ、と伝える。
「本当に助かった。お前がいてくれなかったらどうなっていたか」
-い、いえっ!-
「ホンゴウにも礼を言っておいてくれ」
-っ!わかりました-
「それと、今、セシルはそこにいるか?」
-いえ、今は離席しています-
「そうか...わかった、昨日は悪かったと伝えてくれ。報告は改めて聞くと」
-かしこまりました。あの、本日のご予定はいかがいたしましょうか?-
出社せずに、電話をかけてきたことに何かを察してくれたのか。
「大きな予定はなかったはずだろう?今日は留守にする。ベックには、後で俺から連絡を入れよう」
-かしこまりました-
通話の終わった携帯で会社のシステムに入り、出勤状況を「不在」とする。
キッチンを確認した🌸から、食材がない旨を聞いて、🌸の料理が食べられないと知る。
(なんか買っときゃよかったな)
たまには外で済ますか、と立ち上がって気づく。
「シャワー、浴びるか?」
コクリと頷く🌸に、先に使ってもらってその間に行き先決めるか、と考えていると、🌸が上目に見上げて来る。
「一緒に入る?」「ん?」
その言葉に、思考がフリーズする。
シャワーで済ますかお湯を溜めるか、と考えている🌸に、これは、と携帯をおいて立ち上がる。
「それは、俺は誘われてんのか?」
え?と見上げる顔に、特にそういう意図はなかったと気づきながらも、ぐいっと引き付ける腰。
「案外えっちだな」
ちょっと誂うとすぐに赤くなる。
逃げられないように担ぎ上げると、スキップする勢いの軽足で、🌸を風呂場に運んだ。