依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第53章 彼女の真実
はぁ、はぁ、と短い🌸の息の音がする。
「🌸」
デスクに上体を預けるように、シャンクスの左手の上に覆い被さった🌸。
「どけ」「いやっ!」
やだ!と頭を振る。
「ナイフ、離して!」
じゃなきゃ離れない、と胸の下に庇う左手を、両手で握りこまれる。
「けじめだって言ったろ」
「そんなものいらないっ!」
「🌸が信じてくれないんだ、形で示す」
🌸は、ぱっと振り返ってシャンクスに抱き着いた。
「信じるよ...」
ギュッと力が入る腰に回された腕。
「シャンクスの、これまでの、全部...してくれたこと、話してくれたこと、見せてくれたこと...全部、信じるから...だから」
抱きつく体を押し付けてデスクから離そうとする。
「自分で、傷つけたり、しないで」
胸元が濡れていくワイシャツに、カラン、とナイフを放る。
「お前は、自分が傷つくことには疎いくせに、他人が傷つくことに怯えすぎた」
余る腕で、小さな体を抱きすくめる。
「んなちっせぇからだで、抱え過ぎだ」
震えている頭を、大きな手で撫でる。
「抱えるモン、もっと寄越せ」
頼りない狭い背中を撫でる。
「甘えろよ。我儘言えよ。怒ったり、責めたりしていい」
ぎゅうっと一際強く抱きしめる。
「んなやわじゃねぇし、遠慮して隠されると、悲しいもんだぞ」
隠されると、悲しい
シャンクスの言葉に、夜中にキッチンで揺れていた背中を思い出した🌸は、シャツを掴んだ。
「それは、シャンクスだって、同じ」
「🌸は隠しすぎだ。俺は、『今は言えない』ってだけで、時期が来たら話す」
「それ、隠してるのと何が違うの?」
「🌸は話そうともしなかったじゃないか」
と言われて、うぐ、と押し黙る。
微かに笑ったシャンクスは、🌸の頭を顎を乗せた。
「どうやったら🌸ちゃんは甘えてくれんだ?」
うりうり、と顎先を頭に擦り付ける彼を見上げる。
「シャンクス、気持ち悪い」
「遠慮しない方面、間違えてるぞっ⁉」
ちゃん付けにゾワッとした、という🌸の鼻を摘む。
🌸ちゃーん、とふざけて呼んでくるシャンクスの頰を、やーめーてー!と摘むと、おかしそうな彼の笑顔にふっと力が抜けて笑うことができた。