依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第53章 彼女の真実
すでにまぶたの縁が赤い🌸の目元を撫でる。
「仕事、休んで正解だっただろ?」
「う、はい」
ありがとうございます、と小さく俯くと、つい、とシャツの袖を摘む。
「さっきのことなんだけど」
「なんだ?」
🌸の言う「さっき」が何を示しているかわからず、顔を見る。
「『頼りないか?』って、言ったこと」
「ああ」
ちら、と上目に見上げてくる涙目に、う、と体に力が入る。
「私の中で、一番頼れる人だよ。シャンクスは」
クシャ、と引かれる袖。
「話しちゃったほうが楽なのは、わかってた。
両親のことと同じで...だけど、勘違いしちゃった当時の子たちの事とか
...秘書さんのこととか思うと、もしいつか別れる時の為に言うべきじゃないと思って」
「なんで別れる前提なんだ」
聞き捨てならない、と腕を掴んで引き寄せる。
「だって...ねぇ?わからないじゃない?先のことなんて。ずっと愛してもらえる自信なんてないし」
🌸の言葉に、シャンクスはふん、と鼻を鳴らして立ち上がる。
🌸をデスクの前に立たせ、机上に飾られたサーベルを模ったレターオープナーを取り上げると、黒塗りの鞘から引き抜く。
金と緑の柄をつまみ、徐にライターを取り出してシルバー製の刀身を炙った。
「何してるの?」
「けじめつける」
シャンクスの言葉に、はい?と首を傾げる🌸。
ダン!と机上を叩いたシャンクスの左手に驚いて目を閉じる。
「この先、ずっと🌸を守る」
「へ?」
恐る恐る目を開けた🌸は、約束する、と笑う顔を見上げる。
ス、と目線を逸して、右手で握りこんだナイフを振り上げたシャンクス。
「シャン、クス?」
なにするの?と声を震わせる🌸。
「けじめだ」
そう言ってフッ、と短く息を吐き、机上の利き手を睨みつけたまま、真上から右手を振り下ろした。