依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第53章 彼女の真実
合間、時折顔をあげると、目が合って、うん、と頷くブルー・グレイの瞳。
「私も、態度よくなかったかな、とは思ったけど...なんか、距離を急に詰められたから、どうしたらいいかわからなくて」
膝の上で弄ぶ指先を眺めている瞳が潤む。
「私なりに、断ったし、否定もしたけど...当人一人が否定する事実よりも、その何倍もの人が想像する噂のほうが『現実』に成り代わっちゃうことってあって」
学生のコミュニティなんて特に、と手を擦る。
「ユースタス君は、特に気にしてる様子もなかったから、所詮噂、って思ってた。時間が経ったら、終わるって」
でも、と微かに肩が震える。
「彼、が...彼の気持ち、を、知って...どうしたらいいか、わからなくて...」
擦っていた手が握られる。
「受け入れることも、拒絶することもできないうちに...あんなことになって」
「『あんなこと』?」
シャンスクは、🎀とローから聞いた馬鹿の所業の事だろうか、と思い当たる。
「いつも、彼は学年も違う教室に来て...周りは結構それをからかったりしてたんだけど、ある時、彼に連れ出されて、」
震えだした🌸の手。
シャンクスが強く握ると、深く吐き出される息。
「告白、されたの、付き合ってほしいって」
🌸の返事が気になり、黙って先を聞く。
「応えられないって断ったら、『そうか、悪かった』って...『もう、教室にも行かない』って言って...『最後だから少しだけ触れていいか?』って髪に手を...」
ああ、自分もよく🌸の髪に触れているな、とシャンクスは拳を握る。
「そ、れを、見られてたみたいで...『キスをしてた』って誤解が広がって、」
人前でスキンシップを嫌がる理由はそれか、と過去の自分を殴りたくなる。
「付き合ってるってことになっちゃって...」
言葉が紡げなくなる🌸に、その先はローと🎀に聞いたことなので、もういい、と声を掛けようとした時。
「そのせいで、キッド君が怪我、を」
「どういうことだ?」
震えた息を吐く🌸の目から、涙が落ちる。