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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第53章 彼女の真実


ホンゴウに鞄を執務室に預けておくよう頼み、🌸の頭からジャケットを被せる。
🌸が、視界を遮るそれを捲って伺おうとする前に彼女の荷物を無理やり持たせて、肩と膝裏に腕を差し込んで抱き上げた。

下ろして、と喚く🌸をちょっと睨むと、急に大人しくなる。
萎れた姿が、落ち込みを表現した小鳥のイラストと被る。
有無を言わせずに医務室を出て、荷物搬入用のエレベータへ向かう。

「🌸、カードキー」
観念したのか、バッグの中から取り出したカードをおずおずとリーダーに翳す。あまり頻繁に使われることのないそれに乗り込むと、降ろして、立てる、とシャツを引っ張る🌸を支える腕に力を込める。
「逃げたりしない」
そう言ってギュッと首に抱きつく🌸を、そっとエレベータで下ろし、指先に引っ掛けていたヒールを履かせる。
荷物を預かって、細い手首を掴んだ。
手首を掴む手をじっと見ている。
心の中で、手は繋いでやらない、と突き放して少し、腕を引き寄せる。

最上階について自宅に入ると、玄関で立ちすくむ🌸の靴を脱がせて、応接室に入る。
殆ど入ることのない部屋に戸惑う🌸が、カチャ、とサムターンが回った音にビクッとする。
革張りのソファの一角に荷物を置き、入口に背を向けるように置かれたソファに腰掛け、来い、と隣を叩く。
軽く畳んだ上着を抱き、少し離れたところにストン、と座る。
無言で手を伸ばすと、おずおずと差し出させる上着。
アメリからの「報告書」を抜き取ると、ソファの空きに放る。

腕時計の微かな稼働音がする。
膝に肘を立て、口元を隠すシャンクスの手に挟まれたメモを幾度か確認する🌸。

「逃げないんだろ」
唐突にそう言ったシャンクス。シャツのカフスとベルトを緩める。
「全部、話しちまえ。隠したら、互いに苦しいだろ」
な、と柔らかな瞳で🌸に笑いかけ、カサ、と開いたメモを低い机に置いた。
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