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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第53章 彼女の真実


ふと、薬のような、少し懐かしく感じる匂いがして、目が覚めた。
知らない天井をぐるりと見回して、どこ?と瞬く。
知らない布団をめくろうとして、お腹のあたりになにか乗っていることに気づく。

そこには、ジャケットを肩に羽織って、ベッドに凭れ掛かるようにして寝ている赤髪。
一瞬、ビクリとした🌸の身体に、んん、とこちらを向く。
「🌸」
ポツリ、と寝言を言うと、力が込められる手。
空いている手で、ずれたジャケットをかけ直すと、ピク、と肩が動く。はら、と顔にかかる一房の髪を払う。
薄く開いた瞳に、起こした?と声をかけた。

ガバッと勢いよく起き上がった上体に驚く。
「あ、悪い。大丈夫か?」
驚かせた、と頬に触れてくる。
「うん、平気。おはよう」「ああ、おはよう」
疲れた顔で、よかった、と🌸の頬を撫でるシャンクスの肩からジャケットが落ちた。

落ちたよ、と目線を向ける。
「REDForceの医務室だ」「医務室、」
拾ったジャケットを払うシャンクス。

白パイプのベッドは、確かにそれっぽい。
起き上がろうとすると、まだ寝ていろ、と枕に頭を戻される。
「もうすぐホンゴウが出勤してくる」
「ホンゴウ、さん?」
聞き慣れない名前に、うちの産業医だ、と位置を調整した椅子に掛け直す。

「どこか、調子悪いところは?」
少し体を動かして、ううん、と首を横に振る。
「私、なんで...」「覚えてないか」
少し悲しそうに見えた顔に、ごめんなさい、と目を伏せる。
「謝るな。昨日、うちに来たんだろう?」
えっと、と記憶を辿る仕草を見せ、そう、と頷く🌸。
「建物の前で倒れたんだ。偶然、俺の部下が居合わせて、ここに」
「...迷惑かけちゃった」
眉尻を下げる🌸。

「え、でも、なんでシャンクスが?」
自分との関係を知る由もない、と怪訝そうにする顔に、咄嗟の嘘をつく。
「倒れた時にばらけた荷物の中に、カードキーを見つけて知り合いじゃないか、と」
「あ、合鍵」
そう、と頷くと、そっか、と少し安心したように一息つく。

今はまだ休め、と起き上がろうとした体を寝かせようとするシャンクスの右腕に気づいた🌸が、勢いよく腕を掴んで引き寄せた。

時を刻む腕時計の日付と針の位置に、サァッと青ざめる。
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