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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第52章 ふるえるココロ


連絡先に悩んで、確実に繋がると考えた彼の個人の携帯にかけた。

「大丈夫でしょうか?」
勤務時間外だが、社内であることを加味して、敬語で伺う。

「話を聞く限り、頭を打ったりはしてないし外傷はないから、とりあえず目を覚ますまで様子見だな」
彼は診察台で横になる🌸に毛布をかけると、デスクにつく。
ペンや紙を取り出して、書き込む背中に、ありがとう、と頭を下げる。

「ごめんなさい、勤務時間外に」
すでに受付を終了している診察室で、眠る彼女を彼と見守る。

「お前は、大丈夫なのか?」
社外での態度の彼。
「私?うん、なんとも」
くるりと回転椅子を回すと、ポン、と頭に手が乗る。
「何もなかったから良かったけど、無茶するなよ」
「えへへ、ありがとうホンゴウ君」
ぶっきらぼうながら優しい彼を、ムフフ、と見上げると、気持ち悪ぃ、と医師である恋人の眉間にしわが寄る。

「しかし、どうすっかなぁ。目、覚ますまで待つしかないか?」
少し険しい顔で眠る彼女を腕を組んで見やる。
「どこの誰かも分からねぇし...弱ったな」
刈り上げた側頭部を掻くホンゴウに、あのね、と声を掛ける。
「えっと、一応、彼女の身内?関係者?に連絡は取れると思うんだけど」
「知り合いなのか?」
会社前で人が倒れた、と聞いたので偶然居合わせたんだと思っていたホンゴウは、アメリの言葉に、瞬く。

「電話、借りていい?」
「いいけど...?」
なんで?と首を傾げるホンゴウに曖昧に笑うと受話器を取る。共通電話帳から外線で呼び出す。
「出るかなぁ?」
接待中だしなぁ、と時計を見上げると、一軒目が終わるかどうかという時間。
しばらく呼び出して、黙って見守っているホンゴウと目が合った時、コール音が止む。

「お疲れ様です、アメリです」
明るいアメリの声に、ホンゴウは誰だ?と電話機のモニターを覗き込む。

お時間よろしいでしょうか?と電話の向こうの様子を伺うアメリに。
傍らのホンゴウが、えっ?ええ?とアメリの顔と電話機のモニター、そして目を覚ます様子のない彼女を見比べた。
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