依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第51章 慣れ始めた日常と刺さる記憶
「すいませっ」
「ごめんなさいっ!」
ぶつかった女性が謝りかけて、あなたは、と🌸を見つめる。謝って駆け出した🌸は、あ、ちょっと⁉と背後から聞こえる声を無視して走り出した。
歩道を駆けて交差点に入ろうとした時、腕を掴まれる。
「おいっ!赤だぞ」
「やっ!」
追いかけてきたキラーに掴まれた腕を振り払おうともがく。
「やめてくださいっ!嫌がってます」
🌸とキラーの間に割り込んだのは、まだ新しそうなスーツを着た🌸と同じ年頃の女性。
🌸とぶつかりかけた人だった。
「なんですかっ離してあげてください!」
🌸の手首を掴む手を剥ぎ取って、真正面に対峙する。
「警察呼びますよ」
ズイッと差し出される画面には、110。
背後でへたり込んだ🌸を、大丈夫ですか?と支える。
立ち尽くすキラーに目を向けると、再び携帯を突き出す。
「なんの用ですか?彼女は体調不良のようなので改めてくださいっ!今はお受けできませんっ!」
仕事の様な口調で、追い払おうとする。
「ご要件がお有りなら、REDForce総務部秘書課調整係までっ!アメリが承ります!」
ふんっ!となお突き出される画面。
🌸を気にするキラーに、片手の人差し指を発信ボタンに向ける。
「すまない」
これ以上は、とキラーは踵を返した。
「キッドには、」
そう言ったキラーに、いや、と🌸は、アメリの後ろで震えた。
それを見て、そうか、と俯く。
「お前と会ったことは、言わない。約束しよう。怖がらせたかったわけじゃない。すまなかった」
舗道沿いに歩いて去っていくキラーを、🌸は見ることはできなかった。
「大丈夫ですかっ?」
お怪我は、とバッグをおろして🌸の傍らに膝をつく。どうしよう、と辺りを見回したアメリは、えっと、と羽織っていたカーディガンを震える🌸に掛けた。
携帯の画面を警察から社長室に繋がる番号に変えて、ええっと、と手が止まる。
内密に、と言われている事にどうしよう、どうしよう、と悩む。
人だかりができ始めている通りに、ええいっ!とかけると、ワンコールで繋がった。