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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第51章 慣れ始めた日常と刺さる記憶


二人で迎える勤務日の朝。
離したくねぇなぁ、とすり寄るシャンクスをなんとか納得させて彼の車で自宅から登庁すると、あれ⁉と課長に驚かれた。

「な、なんでしょう?」
「いや、電車が遅れてるからまだロビン君、登庁してないんだよ」
同じ路線だろう?と首を傾げている。

「あ、えっと、もう復旧してるんじゃないですかね?」
遅番だったんで、とたどたどしく答える。
「そうなの?」
車両のトラブルらしいよ、と聞いて、少し遠方から通勤している先輩を案ずる。

執務席について支度を始めると、携帯が鳴った。
-電車、遅れていたらしい-
大丈夫?と首を傾げるライオン。
既読の付いたそれに続いて、再びライオン。
蝶ネクタイにタキシードを着て、お迎えに上がります、と恭しくお辞儀している。

-送ってもらって助かっちゃった。ありがとう。
忙しいなら、無理しないでいいからね-
メッセージを送り、さて、とデスクに向き直った時、遅れました、と落ち着いた声。

「ごめんなさいね、迷惑かけて」
ロングの黒髪をボニーテールに結い上げ、申し訳無さそうに自席につく。
「何も迷惑じゃないですよ。しらほしさんは影響受けなかったみたいなんで」
慌ただしく支度するロビンに声をかけた。

「カウンター、代わりましょうか?」
デスク上に溜まっているファイルとバインダーに申し出ると、甘えていいかしら、と艶やかな笑顔。
お安い御用です、と予定盤のマグネットの位置を変える。

「あら?」
首を傾げるロビンが、顔を上げた。
「🌸、貴女、煙草吸う人だったかしら?」
ロビンの言葉にドキリとする。

「タ、タクシー使ったから、ですかね?」
今、身近で煙草を吸うのは、一人しか浮かばない。
「ああ、個人だと偶にいるわね。車内に匂いが残ってる車」
部屋を出る前、ベランダで欠伸を噛み殺しながら一服していた。
「困りますよねぇ」
その彼と車に乗ったので、匂いが移ったのかもしれない。

「カウンター前に、消臭かけておきます」
行ってきます、と早足に執務室を出た。
更衣室で、すん、と袖を嗅いでみる。
「目立つのかな?」
今後気をつけよう、とロッカーに常備している衣類用の消臭剤を振って、一階へ階段を駆け下りた。
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