依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第50章 Girls Talk
「アメリちゃん、今日予定ある?」
終業15分前。明日の会議の資料の準備をしていると、隣でまとめ作業をしていたイヴから誘われる。順にまとめられたそれを受け取って、ダブルクリップで留める。
「無いですよ〜、夕飯食べて寝るだけです」
「一緒にご飯行かない?セシルちゃんも誘って」
賛成です!と目を輝かせたアメリに、イヴが艷やかに笑う。
そこに、只今戻りました、とセシルの声。ベックマンの影から、セシルがイヴに、ごめん、と手を立てる。
目が合ったアメリが、お疲れ様です、と声をかけると、と少し目を逸らして、お疲れ様、と返した。
「絶対に行かせてください。私に釈明の場をっ!」
縋るような目のアメリに、私からもちゃんと言うわ、とイヴが申し訳無さそうに笑う。
「アメリっ」
ちょっと、と呼ぶシャンクスの声に、ええ、と漏れた声はイヴにだけ聞こえたらしい。
「仕事は仕事よ」「そうですね」
はいっ!と返事をして、その場をイヴに任せて呼びつけた彼の執務席の前に向かう。
「お呼びでしょうか」「お呼びだ」
巫山戯る彼に苦笑いして、ご要件は?と問う。
「郵送頼む」
いくつかの封筒の束を受け取ると、簡易書留と特定記録の付箋が貼られた封筒。
「速達等でなくてよろしいですか?」
「ああ」
それと、と渡される宛名も切手も無い封筒。
「後でセシルに渡してくれ」「わかりました」
シャンクスは、頼んだ、と携帯に目を向ける。
幾度が操作をして、顔を顰めると、ハンガーポールにかかるジャケットを羽織って、机上の香水瓶とカーキーをポケットに入れるとペントレーの万年筆の位置を正した。
お先、とベックマンとヤソップに手をあげ、少し駆け足に出ていく。
「キャッ!」「っと、」
持ち出し物を片付けに行っていたセシルと通路で鉢合わせ、ヒールがぐらついた彼女の腕を掴む。
「悪い、大丈夫か?」
「は、はい」
つい、ほうっと見上げるセシルに、悪かったな、と再び謝ると、締まりかけたエレベータの扉をこじ開けて乗り込んだ。