依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第50章 Girls Talk
アメリは、交換条件に給湯室の常設のコーヒーを自分の好みのものに変えていい、と許可したシャンクスに、ありがとうございます!と笑った。
「そんなことでいいのか?」
「私には重要なんです!コーヒー淹れられるのに、苦手な種類だから別に用意してたんですが、結構負担で」
そういえばあまり飲んでないな、と自身もとんと飲むことが減った会社のコーヒーの味を思い出す。
「社長なコーヒーはいつもモカですね」
私もそれが一番好きです、と言うアメリ。
「いつもキリマンジェロが置いてあるんですけど、ちょっと私には酸味が強いし濃いしで苦手なんですよね」
だからいつもミルクと砂糖を足してしまう、と肩を竦める。
「ダイエットしなきゃなのに」
アメリの女の子らしい悩みに、シャンクスは笑った。
「多分、家で飲むのと同じコーヒーだと思うんですけど、いつもどこでコーヒー買われてます?」
いつもタンブラーのコーヒーは🌸の家で淹れてくれるものなので、メーカーさえわからない。
「今度、聞いといてやる」
「お願いしますっ」
高級品じゃないと嬉しいな、と言うアメリ。
ドリップパック式のよくあるタイプなので、値が張るようなものではなかったはずだ。
「すみません!遅くなりましたっ」
「ごめんなさぁい。遅れました」
駆け込んできたのは、セシルとイヴ。学年は違うが入社が同期の二人は、家も近く仲がいい。
おはようございます、とアメリが挨拶すると、シャンクスが執務席から立ち上がる。
「珍しいな、二人揃って寝坊か?」
誂うような口調のシャンクスに、違いますぅ!とイヴが少し怒った。
「バスが止まっちゃって...車両の故障だったみたいで、代行車待つか降りるかで地下鉄に切り替えたんですけど」
セシルの説明に、イヴが続く。
「こっちも急病人と落とし物で遅延してて、もう踏んだり蹴ったり!」
少し息の荒れた二人は、ほれ、とシャンクスが差し出すウォーターサーバーのカップを、すいません、と受け取る。
ああ、と納得したように腕を組むシャンクス。
「送ってやって正解だったな」
ボソリ、とつぶやかれたそれを聞き取ったのはセシルだけだったらしく、イヴは自席に座ってパソコンを立ち上げており、アメリはバインダーを手に、シャンクスに何かを確認して笑顔で頷く。
自席に戻って取り出した携帯を操作する彼が、少し、顔を顰めた。
