依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第49章 JEALOUSY
他の男の匂いなんかさせてんじゃねぇ
目の前の不機嫌そうな顔に🌸は瞬いた。
「リトルシガーの奴に会ったな?」
「え、うん」
ほう、と鋭くなった目つきに、ハッとする。
「そう言うんじゃないんだよっ!」
彼も誤解をしている、と説明する。
「図書カウンターで偶々会って、スモーカーさん常連なの!」
決してそんなじゃ、と首を振った。
「シャンクスと約束もなかったし、食事だけして帰ってきたの」
なるほど、それであの時間駅前にいたのか、と納得する。
「ご、ごめん。そうだね、軽率だった」
ごめんなさい、と下がる頭を持ち上げ、瞳を見つめる。
「今後、一切禁止」
元彼に限らず、と細い顎を掴む。
「男と二人は、許さない」
すっかり化粧も落ちている唇を、ぺろり、と舌先で舐める。
「わかったな?」
はい、と頷く🌸に、よし、と言うと風呂椅子から立ち上がる。
ぬぁはっ!と変な声を上げて溜まったお湯にザブ、と潜り込む🌸。
「なんだ?」「せめて前は隠しましょうっ?!」
鍛えていらっしゃいますけどもっ!と口走った🌸に、ニヤリと口角を上げる。
「今更、裸程度が恥ずかしい仲じゃないだろう」
こっち向け、と腕を引く。
「恥じ入りはなくとも恥じらいは見せてくださいっ」
「何が違うんだ」
小さくなって端っこで背を向ける🌸がつくる空間に無理やり座り込む。
「ほら、狭いんだ、こっち来い」
ここ、と膝の上に乗せようと腕を引くシャンクスに、プルプルと首を振る。
「あがるっ!」
あっち向いてっ!と伸びてくる手を押し返す。
「まだ体が冷えてる。風邪引くぞ」
「お布団に入るからいいっ!」
誘ってんのか?とニヤニヤしたシャンクスに、バシャッとお湯をかけて、怯んだ隙にあがって体にタオルを巻きつけた。
「シャンクスこそ、風邪引いても看病してあげないからねっ!」
滴る水を手で拭う。
温まってよ、と脱衣所に逃げた🌸の裸の背中を見送って、少し狭いバスタブに沈まる。
痴話喧嘩なんか、初めてした。
一方的に嫉妬を押し付けられることはあったが、自分もそんな感情を抱くことも初めてだ。
少し前の自分なら絶対にありえない、と🌸に変えられていく事に、悪くはないな、とようやくお湯が溜まった湯船で目を閉じた。