依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第49章 JEALOUSY
外で抱き上げた時、なぜ気づかなかったのだろう。
走って息が上がっていたのと、ヒールを投げ捨てて走り出した🌸が、小石やガラス片でも踏んだら、と気が気じゃなかったせいか。
細い首筋に齧り付きながら、シャワーを浴びたはずなのに、となお、歯を立てる。
ボディソープのはちみつの香りに消された藤の香り。
もう一度深く息を吸う。
髪だ。乾いた髪から特に強く香る。
チッ、と舌打をして立ち上がると、呆気にとられている🌸を抱き上げて風呂場に向かう。
「シャンクス?ねえ、」
無言で無理やりトレーナーを脱がせると、やだ、と止めようとする手を片手で掴み上げ、背中のホックを外す。
「ねぇ、聞いてっ」
露わになる胸を隠そうとしながら止める🌸を無視して肩に担ぎ上げるように抱くと、ジャージと下着と一緒に脱がせる。
素っ裸の🌸が逃げないようにお湯の溜まっていない浴槽におろし、洗い場でテキパキと裸になったシャンクスは、脱衣所に服を投げて手荒くドアを閉めると、シャワーを手に取った。
「きゃっ」
お湯のコックを捻ったが、出たのは水。
頭からかけられるそれに、🌸はフル、と身を震わせた。
シャンクスの手から離れたシャワーがガラン、と音を立てて浴槽にぶつかる。
シャンプーを手に取ると、🌸のつややかな黒髪に泡立てた。
ようやくお湯が出始めたシャワーが浴槽に湯を溜める。
何を言っても聞いてくれないシャンクスにされるがまま、目ェ閉じとけ、とようやく口を開いた彼に従う。
泡を洗い流すと、浴室用の櫛で髪を梳いて、きつめに水気を絞ると、トリートメントを馴染ませる。
自分と同じ手順を倣う手。
潤みを増した髪の水気を絞ると、すん、と鼻を寄せる。
「よし」
一息ついて、ザァ、と頭からシャワーをかけて濡れた髪をかき揚げて撫でつけた。
筋肉の付いた二の腕を指で突く。
「一人、満足しないでもらえますか?」
ぐっと力を入れてみるが、ほとんど指先が沈まない。
いつ鍛えてるんだろう、とグサグサ指で刺していたら、浴槽の縁に腕を乗せた彼から、再びデコピンを食らった。