依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第48章 愛し子よ
連絡を取り合ったマキノが待つ駅に車を走らせる。
帰りは大人しく後部座席に乗った二人は、車が走り出した時には興奮気味にはしゃいでいたが、呆気なく寝てしまった。
駅の送迎用の車寄せでハザードをたくと、後部座席に腕を伸ばして、寄り添って寝ている膝を揺する。
「ルフィ!ウタ!起きろ」
んえ、と瞼を開けたルフィが目を擦る。先に外に出て、後部座席のドアを開けた。
「飯かっ!」「晩飯は食ったろう」
完全に寝ぼけているルフィを笑って、ようやく目を開けたウタに腕を伸ばす。
「ほら、ウタ。こっちに来い」
車道側に座るウタを呼び寄せて抱き下ろそうとしたが、降りようとしなくて仕方なく抱いたままルフィを見下ろす。
「マキノさんの言うこと、ちゃんと聞くんだぞ」
「いつも聞いてるぞ」
よし、と屈んで目線を合わせる。
「ウタは?」「わかった」
そう言って体全体で抱きついてくるウタの頭を撫でた。
「今度の発表会、来る?」
約束、と首に巻き付けた腕に力を込めるウタ。
約束だ、と再び頭を撫でてやると、ルフィが駅から出てきたマキノに気づく。
おーい!と呼ぶルフィに気づいて駆け寄ってくる。
まだ離れそうにないウタに、ズルいぞ、とルフィが脚にまとわりついてくる。
「こら、引っ張るな」
倒れちまう、と片腕にウタを抱き直して、ルフィの頭を雑に撫でる。
「すいません、随分ゆっくりしちゃって」
申し訳無さそうなマキノに、いいやと首を振って笑う。
「ウタ...荷物が取れないだろ」
ウタは、シャンクスの体に足を巻き付け、肩に顔を埋める。
「ウタ」
いやいや、とする背中を優しく叩いて慰める。
「発表会、顔出す」「ほんと?」
「ああ」「約束ね」
ようやく顔を上げたウタを下ろして、荷物を渡す。
「じゃーなー!」
大きく手を振るルフィ。会釈するマキノと、帰りたくない、と足取りが重いウタを見送る。
駅へと上がるエスカレータから見えなくなると、車へと戻った。
二人と手を繋いでいるマキノの背中に、🌸を重ねた。
🌸はルフィやウタに気に入られるタイプだ。
特にウタは、最近「お姉さん」振りたいけれどもまだまだ甘えたくもあるから、ある部分では私の方が!と得意げになりつつ、またある部分では🌸に縋ったりするだろう。
会いたい
気持ちが溢れて堪えきれずに、携帯を手に取った。