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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第48章 愛し子よ


「薬はどうする?」
最近収まっている症状に、少ない量の薬を頼む。

「しかし、お前が結婚か。ウタが泣くな」
「ウタは、ほら、あの年頃によくある年上への憧れみたいなもんで」
ニヤッとしたクロッカスに、勘弁してくれ、と白いシャツの裾を整える。
「それよりも、片付けることが山積みで」
薬を受け取り、いずれは、という話です、と笑う。
「クロッカスさんにも、挨拶に来ます」
「期待せんと待っとるわい」
「俺、振られる前提っ!?」
なんでっ⁉と焦るシャンクスをゲラゲラと笑うクロッカス。

騒がしくなる待合室に、噂をすれば、か?とシャンクスが診察室の扉を開ける。
「あ!やっぱシャンクスだ!」
「騒がしいのが来たなぁ」
表に車があった!と騒ぎ立てるルフィを宥める。

「ルフィ!」
開きっぱなしの扉から駆け込んできた紅白の髪に、ガシッと掴まれる右足。
「離れてっ!シャンクスに近づかないで」
「なんだと!」
言い合いを始めるルフィとウタの頭を撫でる。
「仲良くしろよ」
同じ年なんだから、と言うと、頭の手を払われる。
「私は12歳!6年生なの!4年生のルフィと一緒にしないで」
2つも違うの!と拘るウタがガクガクとシャンクスの脚を揺さぶる。

遅れて入ってきた女性が、あら、と明るい笑顔を向ける。
「社長さん、お久しぶりですね」
「やぁ、マキノさん」
わかったわかった、と適当に諌めたウタを待合室の椅子に座って膝に乗せてやると、今度はルフィがずるい、と騒ぐ。
「ずるくない!私はシャンクスの娘よ!」
「本当の父ちゃんじゃないじゃんか」
「『おとなのじじょー』なのっ!」
意味をわかって言ってるのか、と自らの手で保護した『娘』の額を小突く。

「大人しくしろ。ウタはいつもの診察か。ルフィは?」
ついてきただけだっ!と隣によじ登って座る。
「ウタもマキノもいないんじゃ、ハウスにいても暇だからな」
病院は遊ぶところじゃないのよ!とウタに指摘されて、また戯れだす。

「騒ぐなって。ウタ、調子がいいようならドライブにでも連れて行ってやろうか」
シャンクスの言葉に、ぱっとウタの目が輝く。
「ズルいぞ!ウタだけっ」
ポカスカと腕を殴るルフィに、お前もな、と雑に頭を撫でる。

「シャンクスも、薬飲むのか?」
ウタも飲んでる、とルフィが覗き込む袋。
睡眠導入剤と痛み止めのそれを、ただの栄養剤だ、と誤魔化した。
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