依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第47章 不安は不安を引き寄せる
「はぁ、」
つい、ため息ばかりついてしまう。
気を紛らわそうと、執務席から立ち上がって給湯室へ向かう。
シャンクスが親に会うといった理由。🎀は十中八九そうだというが、本当にそうなんだろうか。
「どう言ったらいいんだろう...」
そのことをシャンクスに確認したいが言い出せず、どうしよう、と悩んでいた。
総務課からは、総合受付に一人常駐で人がつく。開館する9時から閉館30分前の18時までを、3人で回す。
午前の9時から12時、12時から15時、15時から18時までを週に2回、担当する。
もうすぐカウンター業務の時間。今日は、最後の時間帯の担当。
(C枠は時間通りに上がれないからなぁ)
最後の時間は、完全に利用者が捌けるまでいる必要があるので、設定上18時までの勤務なのだが実際は30分ほど時間がずれ込んでしまう。
前の時間帯を担当した職員から引き継ぎを受けて、「総合受付」とプレートが置かれたカウンターにつく。
今日は、ホール等でのイベントもなく、通常開館の図書館や児童館に利用者が多い。
「すいません、駐車場の手続きお願いします」
「はい、お預かりします。図書館の貸出票、もしくは施設利用の際に発行された証書等ございますか?」
図書館の貸出票を確認し、30分以上の利用で料金が発生する駐車場のチケットを機械に通す。
「入庫時間から2時間分の料金が無料となります」
わかりました、と受け取って出入り口に向かう背中に、お気をつけて、と声をかける。
椅子に腰掛けると、カウンターから一段下がって目隠しされた机のパソコンに目を向ける。
入館者対応しながら、空き時間は施設内や館内に設置された監視カメラの確認や、自治体の催し物などのチラシが置かれたカタログラックの整理をする。
いつも通り、大きな問題もなく、17時半をすぎる。
カウンターには、駐車券の手続きで列ができる。
一人ひとり対応し、最後の一人となる。
「お待たせしました」
顔を上げ、あ、と声が漏れる。
オールバックの白髮。大きな手に2冊の本を抱えて立つ。
「終業後、時間もらえるか?」
人がいなくなったロビーに声が響く。コクリと頷くと、通用口で待っている、と利用者入り口へ歩いていった。