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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第46章 Heart Beat



「5年ほど前に別れた女がいる、って話しただろ」
記憶をたどり、確か初めてこの部屋に来た日だ、と思い出して頷く。
「え、でも写真は高校生の時だったよ?」
「同級生だった」
当時の事は覚えてないけど、と苦笑いするシャンクス。

「22の時に再会して、そこから付き合った」
ぐ、と傷に押し当てられる掌。
「学生しながら起業して、一番忙しくしてた頃で、最後の方はあまり相手してやれてなかった。連絡が来なくなって、こっちから連絡する余裕もなくなって。最後に会ってから3年位経った頃、たまたま見かけた」
傷に触れる手に、酷い熱と脈動を感じる。吐き出された息が震えている。

「ティーチと、この傷をつけた男といた」
ギリ、と奥歯が軋む音。
「後で調べて、BoXを立ち上げる前、ティーチと🖤が同僚だったこと、同じタイミングで会社を辞めていること、🖤がREDForceを立ち上げた翌年からBoXの幹部として在籍していることを知った」
それは、と、🌸に一つの考えがよぎる。

「いつからの付き合いなのかはわからない。ただ、時期から考えれば、🖤に何かしらの思惑があった可能性も否めない」
わからないんだ、と言うシャンクスの首筋に汗が垂れる。

「その後一度だけ、遠目に見かけたことがあったが、多分、会社の中だけの関係ではないんだろう。🖤自らティーチに近づいたのか、ティーチがどこかで俺たちのことを知って🖤を巻き込んだのか、本当にただ偶然なのか。」
今も共にいるようだ、と顔を顰める。

「ティーチに脅されて、もしくは🖤がティーチを利用し、自らの意志で俺を嵌めた。全くの偶然。ティーチとのことは知らずに付き合いをしている、全く関係ないところで弱みなりあって仕方なくティーチの隣りにいる。いろんな可能性がありすぎて、有耶無耶なままだ」
吐き出された吐息は、気持ちを落ち着けるためだっただろうか。

「今でも、調べてはいるのね?」
「入り込まない程度に」
それがあの日、部屋で見ていたものだろうかと思案する。

「痛む?」
少し熱が引いた頬を撫でる。
閉じられた瞼にキスをすると、大丈夫だ、と少し苦しげな吐息。
「🌸」
少しだけ、と強く抱きついて、首筋に額を当てるシャンクスの体温は高いけれど、首筋に残る汗は冷え切っていた。
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