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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第46章 Heart Beat


はぁ、と吐息をついて少しぼんやりとしている🌸。
目が合うと、ふにゃりと笑う。

「ごめんなさい。なんか、」
なんか、と繰り返して言葉に詰まる。

「🌸」
ダイニングテーブルの脇にストン、と胡座をかき、椅子で首を傾げている🌸に、両手を広げる。
「おいで」
ほら、と腕を揺らすと、グス、と顔を拭いて椅子からずり落ちるように降りてくる。遠慮がちに膝の間に収まると、胸に額を当てる。
ぎゅーっと抱きしめる身体が熱い。

しばらく抱きしめて、少し、🌸の体から熱が引いた頃、子供のように抱き上げてリビングのソファにおろす。
目の前に膝を付き、スリ、と指先で🌸の目尻を撫でる。
「真っ赤だな」
腫れそうだ、と擦ると、小さな手を添えて、頬を擦り寄せてくる。
「なぁ、🌸」
両手で濡れた頬を包んだ。

「🌸の両親に、会わせてほしい」
「え?」
潤んだ瞳が見開かれ、瞬きと残涙で一層煌めく。

「🌸の気持ちが落ち着いたときでいい。それまで待つ。整理がついたら一緒に会いに行こう」
え、あ、あの、それは...と彷徨う目線を瞳で捕える。
涙で縁が歪む黒曜の瞳の中に捕らえられた自分が、彼女同様に泣き出しそうに見えた。

「俺も、まだ、今すぐにと言える状況じゃないものがあってな。半端なままじゃ🌸にも迷惑かける。できるだけ早くカタがつくようにする」
だから、と大きな手で左手を握られる。
ゆっくりと持ち上げ、指先を掴むように持ち替えると、親指の先で薬指の根本を撫でる。
しばらく指先を眺める瞳を伏せると、ちぅ、と唇を押し当てた。

「昨日、ごめんな」
手の甲にも一つキスをして、頬と手の間に握り込む。
「私の方こそ、ごめんなさい」
痛かったよね、と頬を撫でる指に、いいんだ、と首を振る。
「たかが嫉妬でやりすぎたな」
「嫉妬だったの?」
驚いた顔をする🌸。
「なんだと思ってたんだ?」
「誂いっていうか、お酒の場でよくあるなんか、そういうノリ?だったのかなぁって」

少しの沈黙の後、ふふ、と笑う🌸。
「...くっそ!墓穴掘ったっ!」
羞恥に染まる姿を見られたくなくて、ソファの🌸から顔を背けると、そっと髪を耳に掛けるように触れて、真っ赤、と言われた顔を隠すために膝に額を付けた。
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