依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第45章 過去の真実を知るひと
出迎えをシャンクスに任せて、キッチンでコーヒーの用意をする。
開いたドアからシャンクスに続いて入るベックマンに会釈する。
「君もいいか?」
ダイニングテーブルに向かい合って掛けた二人。
はい、と頷いて新しく淹れた珈琲のカップ2つを手にする。
ミルクの入ったマグをシャンクスの前に置き、ブラックのままのティーカップをベックマンの前に置いて、ミルクと砂糖を一つずつ添える。
「何だ、話って」
椅子に斜に腰掛けて、片足首を膝に乗せたシャンクスがマグを手に取る。
「彼女の両親の事についてだが」
ベックマンの言葉に、顔を顰める🌸。
その様子を見ると、一綴じの紙をテーブルに置く。
シャンクスと二人で確認する。
[金銭消費貸借契約書(借用書)及び返済計画表]
ベックマンの手によって表となる裏面。
そこにサインされた名前に、🌸の息が詰まった。
「これが?」
それに気づかないシャンクスは、なにかおかしなところがあるのかと目を通す。
「こっちで引き継いだOJの残務は、もう殆んど終わってるだろ?」
手に取った書面になにか問題があるようには見えない。
「この相手も、償却証書発行されてるってことは完済済みだろ?」
5年前の日付で発行されている証書。
返済履歴に滞りもなく、個人で借りた相手がきっちりと毎月返済してる履歴も残っていた。当時の契約書におかしなところもなく、契約時に提出された身分証明書の写しもある。
これがなんなのだ、と顔を上げて書面を放ったシャンクスは、向かいに座るベックマンの目線を追う。
「🌸?」
酷く冷めた目で書面を見ている。
🌸、ともう一度声を掛けるが、書面を見つめて微動だにしない。
ブラックのままコーヒーを飲んだベックマンが、その債権者、と話し出す。
「君の両親だな?」
「ぁあ?」
反応を見せたのはシャンクスだけで、🌸は静かだった。
「俺は、君に会った事がある」
ゆっくりと目線を上げた🌸。
「会った、というよりは見たの方が正しいが」
見つめ合う二人に、訳がわかっていないシャンクスが舌打ちをした。