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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第45章 過去の真実を知るひと


オートロックの掛かった玄関ドア。
ベックマンは自分に用があるんだろうか?それともシャンクスに用があるのだろうか?と拝借していた大きすぎる茶色のサンダルを揃えて脱ぐ。

すぐ右手の扉の前に立つと、ドアにピトリと耳を当ててみる。
しん、と静かな廊下に漏れる音はない。
んー、としばらく考えて、遠慮がちにノックする。
「シャンクス?」
もう一度ノックするが反応はない。

「えっと、ベックマンさんが後で来るって言ってたよ」
扉に話しかけるようにしてから、再び耳を当てる。
「用件は言ってなかったから、来られたら、また声掛けるね」
リビングにいるね、と言ってドアの前から離れる。
リビングダイニングへの扉を開けると、背後からも扉の開く音がする。
振り返ると、気まずそうに顔を反らすシャンクスがいた。
しばらく無言の時間が続く。
「なにか飲む?」
奥を指さして聞くと、彼はコクリと頷いた。

ペーパードリップ式で淹れたコーヒーにミルクを混ぜて、自分用にティーパックでセイロンティーを淹れる。
リビングのソファに座るシャンクスの元へ運び、ローテーブルにコーヒーのマグを置く。
砂糖を一つ入れた紅茶をかき混ぜ、ふーっ、と吐息で冷ます。

「写真のこと、聞かないのか?」
ソファからずり降りて隣に座ると、マグを手に取った。
んー、と言ってクルリと瞳を回した🌸は、シャンクスの方を向いて少し首を傾ける。

「部活はしてた?」
少し冷めた紅茶を一口飲む。
しばらく見つめたあと、シャンクスはフッと笑ってコーヒーを飲んだ。

「してない。奨学生だったからな」
「じゃあ、成績良かった?」
どうだろうか、と首を傾げている。
「碌に勉強した記憶は無いが、大学の推薦取れる程度はあった」
「素行はよかったんだね」
少し逡巡して、いや、と否定するシャンクス。
「わりとやらかした記憶の方が多い気が、」
喧嘩して硝子割ったし、他校と揉めたし、進路指導室の主だったし、と苦笑する。
「よく推薦取れたねっ?!」
笑って誤魔化すブルー・グレイの瞳が和らいでいる。

そうしてしばらく話していると、部屋にインターホンの音が鳴った。
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