依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第45章 過去の真実を知るひと
ご機嫌取ってやれ、とルゥに言われて苦笑う。
「彼は王子様か何かですか」
大人なら自分の機嫌は自分で取ってほしい、とピタリと閉じられて物音一つしない部屋の扉を見る。
「俺達いても、できることなさそうだからよ」
アルバムを抱え、玄関ドアを抑えるヤソップが眉尻を下げる。
「...体よく押し付けられている気もしなくないです」
んー?とそっぽ向くヤソップとルゥの声が、あ、と揃った。
「まだ頭のところにいたのか」
呆れたベックマンの声。どうした?というヤソップに返す。
「頭に差し入れと煙草を」
カサ、と一階にあるコンビニの袋を掲げたベックマンは、ひょこっとドアの陰から顔を出した🌸に、眉を顰めた。
「あ、おはようござい、マス」
オドオドと頭を下げるが、ふい、と顔を反らされた。
機嫌損ねちまって引きこもってる、と親指で部屋の中を指すヤソップ。
「嬢ちゃんにご機嫌取り頼んだところだ」
ルゥの言葉に、そうか、と呟いて手にある袋を見下ろすベックマン。
パッと顔をあげると、なにか意を決したような顔をする。
「ちょっと、邪魔していいか?」
「構いませんが...いつ出てくるかわからないです」
🌸の言葉に、頭はいい、と首を振る。
「アンタと話がしたい」「私、ですか?」
ああ、と頷き、すぐ行く、と踵を返したベックマン。
「なんの、お話でしょうか?」
帰るタイミングを逃して立ちすくんでいるヤソップとルゥを見上げるが、さあ?と二人とも首を傾げる。
「『別れなさい』とか言われちゃいますかね?」
🌸の言葉に、そこまで干渉するか、と二人は顔を見合わせた。
「けど、一応は警戒しておけよ」
ルゥの言葉にキョトン、と見上げる。
「🌸はちょっと警戒心薄いぞ」
確かに、とヤソップが腕を組む。
「俺たちが来た時だって、部屋にひとりだってのにあっさり招き入れちまって」
もしだぞ、と鼻先に人差し指を向けられる。
「頭をどうこうしてやろうと潜り込んできた輩だったらどうするつもりだった?」
「輩、ですか」
どうするつもり、と考えるが、どうしようか?しか浮かばない。
「どうしましょうね?」
見上げる🌸に嘆息した二人は、もしものときのために頭と話し合っとけ、とルゥは🌸の鼻先に指を突き立て、ヤソップは厚い手で優しく🌸の頭を撫でた。