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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第44章 わたしが愛したあなた


「過去の女性にも感謝しているっていうのは、そういう彼の形成に携わってくれたこと、ですね」

丁寧に割かれたことで一つ一つがある程度の四角になっていたので、一枚わかると続けて二、三枚の位置がわかる。

そうして完成された写真には、顔に傷のないシャンクスと彼と対になる制服を着た女の子。
まだ蕾の桜の木を背に、彼は着崩した制服で証書入れの筒を脇に挟んで真顔。「卒業式」と書かれた看板を挟んで立つ女の子は満面の笑み。
学舎を背景に撮られたのは、おそらく10年と少しほど前。

床からテープを剥がして裏返すと、メッセージが書かれていた。
丁寧な字体は、彼の筆跡ではない。
そして、一瞬見えただけでは、英語ではないとしか把握できなかった言語と赤いペンで記されたハートマーク。

「多分、隠すことが当たり前過ぎて、隠すことを隠しきれなくなってんでしょうね。彼は。そして、今までにそうやって経験してきたことの1つでも欠ければ、それはもう彼ではない。私が愛してるシャンクスさんじゃない」
長く切りすぎたテープを切ろうと鋏を取りに立ち上がる。
「だから、彼女に関わらず、彼の周りの人、事、もの。全部に私には感謝します。そんな彼を愛してるので」
だから、ヤキモチは焼かないと笑った。


「お前、人生何周目だ?」
とても23の考え方じゃない、とルゥは感嘆した。
えー?と🌸は、はみ出たテープが切られた写真を裏返して、割けることなく残った、髭が無くて少し幼い顔つきの彼の顔に、ふふ、と笑った。

「それ、どうするんだ?」
ヤソップの言葉に、修復された写真に目を落とす。
「持っておこうかな」
彼は捨てたものと思ってるだろうし、とちょっといたずらっぽく笑う。
「いつも振り回されっぱなしなので、いつかの仕返しのために取っておきます」
なので内緒にしててください、とシステム手帳の背表紙裏のポケットに挟み込んだ。
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