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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第44章 わたしが愛したあなた


握り潰した写真を真っ二つに割いたシャンクスは、驚く🌸を余所に、限界まで細かく切り裂いてゴミ箱に放ると、機嫌を損ねてしまったのか、一言も喋らずにリビングを出て行く。

「🌸、大丈夫か?」
「仲直りになれば、と思ったんだが」
気遣うルゥの声に、ヤソップが余計なもん持ってきたな、と俯く。
「私は、気にしていないので」
引き裂かれた写真が入るゴミ箱を見やる。
「むしろ、シャンクスが見たくなったみたいで...」
シャンクスが出て行ったドアを見る。

家を出ていったわけではないようだが戻ってくる様子もなく、よいせ、と立ち上がってゴミ箱に歩み寄る。
そばにしゃがみ込むと、遠慮なく手を突っ込んだ。
「お、おい、🌸」
「なんか、突発衝動っぽかったので。後で冷静になって残しとけばよかった、ってなったら可愛そうかなと」

本当にいらないなら改めて捨てたらいい、と床に細かな紙片を並べて切り裂きパズルを組み立てていく🌸に、ヤソップとルゥは顔を見合わせる。

「この写真を見たくない、というよりも、写真で嫌なことを思いだしたようでしたね」
忘れろ、という言葉も、もしかしたら自分に言ったんじゃ、本当のパズルのように直線と直角のある欠片から並べていく。
「写真のことは、話したほうがいいか?」
床に座り込んで作業する🌸の向かいにあぐらで座るヤソップ。そうですねぇ、とテレビの収まる壁面収納へ向かった🌸は、セロハンテープを取りかけて、隣りにあるメンディングテープに変えた。

「『今は』やめておきます。彼の言葉で聞くほうがいい気がするから」
にっこりと笑う🌸に、ヤソップとルゥは顔を見合わせた。
「🌸は、過去の女には焼かないタイプか?」
「そうですねぇ、全く興味が無いわけではなく、あくまで彼を通して興味があります」
ルゥに応えながら、ピーと長く切ると、折り返した端を床に貼り付ける。
並べた破片を、角から貼り付けていく。
チラ、と目線を上げて、再びパズルに取り組みながら、持論ですが、と話し出す。

「人って、生まれ持って変えられない『本性』と、育った環境、関わった人、経験で構築された『本質』があると思うんです」
適当に手に取った破片を回し、ここかな、と置く。
「彼は、その2つに大きなギャップがある」
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