依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第44章 わたしが愛したあなた
「甘いな」「ああ、甘い」
その声の方に向くと、ソファの背もたれから覗く4つの目。
ソファの影に隠れ、背もたれから目元だけを出したヤソップとルゥに、🌸は、ひゃっ!と短く悲鳴を上げた。
完全に誂う目つきの二人に、なにやってんだ、と呆れ声を出したシャンクスは、そうだ、と🌸に向き直った。
「さっき、そっちでヤソップと何見てた?」
クイ、と顎でリビングをさす。
あ、と呟いてヤソップを見やる🌸にムッとしたので、掴んだ顎をぐいっと引っ張って視線を戻す。
「ひゃっ、ぁ」逸らすな、と少し目を細める。
悲鳴を上げた🌸が、胸を腕をついて距離を取る。
「写真だよ。ルゥさんが持ってきてくれたの」
テーブルに視線を移すと、なんとなく見覚えのある古い貼付け式のアルバムとポケット式のアルバム。
ポケット式のそれに、あ、と声が漏れる。
「なに?」「い、や。なんでも、ない」
明らかに動揺するシャンクスに、🌸は言い放つ。
「シャンクスと関係のあった女の人達についてなら、ヤソップさんが詳細に教えてくれたから大丈夫」
「俺は大丈夫じゃねぇ!おい、ヤソップ!情報漏洩だろっ」
懸念したことがすでに起きていた。
「や、あの、べ、つにそんな、悪い関係だったわけじゃない。もう、終わったことだし...それに、な!今は、🌸だけだっ!本当に」
しどろもどろになるシャンクスに、ヤソップとルゥが笑いを堪えている。
「大丈夫。学生時代なんて、一番遊びたい時期だもんね」
「おい、本当に何を話した?」
ジロッと睨んでくるシャンクスに、ヤソップが、事実だ、と言い切る。
「嬢ちゃんの言う通りだっ!学生は遊んでなんぼ」
俺だって嫁さんに会うまでは、と語りだすヤソップ。
これ以上墓穴を掘りたくない、と聞き流すシャンクスは、手荒にアルバムを閉じて持ち上げた。
「んな、余計なもん持って帰れっ!」
おら、と纏めてヤソップに押し付ける。ハラ、と一枚、床に落ちる。
貼り付けののりが劣化していたらしく、床に裏返って落ちた写真の角に劣化して変色した糊の跡がある。
落ちて足元に滑ったそれを🌸が拾い上げた。
「あ、」「なんの、」
手元を覗き込んたシャンクスが、バッとそれを取り上げてグシャ、と握りつぶす。
「忘れろ」
いいな?と本気の瞳で見下され、コクコクと頷いた。