依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第44章 わたしが愛したあなた
モゾ、と寝返りをうつ。
いつもの枕とシーツの感触。
いつもより少しだけ、布団の中の温度が低い。
ムクリと起き上がって、ぼーっと空を見て欠伸をする。
濡れた睫毛を拭うと、乾いた唇と喉の感触に咳き込む。
「🌸?」
そういえば、自分はいつの間にベッドに寝ていたのだろうか、と隣にいないぬくもりを求めてベットを降りると、フローリングの冷たさにフル、と体が震えた。
酒の匂いが残る吐息に顔を歪める。
二日酔いではない気分の悪さにため息をつきながらドアを開けると、リビングダイニングの方に人の気配がした。
ヨタヨタとした足取りで向かう。
海鮮の出汁とトマトのいい香りがする。
この部屋で料理をするなら🌸しかいない、と勝手に決めつけて、少し足取りが軽くなる。
ドアを開けて🌸がいるであろうキッチンに目を向けると、ルゥが洗い物をしていた。
「何だ、ルゥか」
あからさまにシュン、としたシャンクスを見て笑うと、嬢ちゃんならあっちだ、とリビングを指差す。
リビングのテーブルでこちらに背を向けてラグに座っている🌸を見つけると、ホッと笑みを浮かべる。
ソファに腰掛けて🌸に何かを見せながら話していたヤソップが気づき、よ!と手を挙げる。
何かに夢中になっていた🌸が、声を掛けられて振り向いた。
「おはよう」
そう言って、ふわりと笑う🌸の背後のベランダから朝日が差し込んでいる。
「きれいだな」
そう呟いて、少し血色の悪い顔で穏やかに笑うシャンクスを、ほら、とルゥがダイニングテーブルに促した。
「そっち、片付けてこっちに来いよ」
🌸も、とダイニングに誘われて、うん!と頷く。
「なんか、急に、馴染んでねぇか?」
頭の隣な、と言われて腰掛けると、椅子に浅く座って片膝に足首をかけたシャンクスが、ムスッとした顔で頬杖をつく。
「ルゥさんもヤソップさんも、すごくよくしてくれるの」
ニコニコしている🌸は可愛いが、その笑顔を引き出しているのが自分以外の男だと思うと気分が良くない。
むっと口を一文字に結ぶシャンクスに、気分悪い?と眉を下げて見やる🌸。
「気分は、良くない」
ふいっ、と目線を反らすシャンクスに焦る🌸。
ルゥはヤソップと顔を見合わせて、この人は、と嘆息した。