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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第43章 RED Force



やりすぎた

気づいた時には、震えて立ちすくむ🌸がそこにいた。

「🌸っ」「っごめんなさい!」
伸ばした手が、駆け出した🌸を捉え損ねて空を切った。
(クソッ)
慌てて立ち上がり、追いかける。
「🌸っ待ってくれ!」
裸足のまま、玄関を出て駆け出そうとする腕を捕まえて力任せに引き寄せる。
「悪かった!もうしないっ」「離してっ!」
腕を振って泣きじゃくっている🌸を抱きすくめる。

何事か、と廊下の先から様子を伺っているヤソップとルゥ。ぬ、と顔を出したベックの目が冷たい。
拳で胸を叩く🌸を無理やり抱き上げ、カードキーだけ手に取る。
「おい、頭」
「悪い、適当に切り上げといてくれ」
少しアイコンタクトして頷いた二人に、大丈夫だ、と笑って、離して、降ろして、と泣き暴れる🌸を抱えて部屋を出た。刺さるようなベックの視線を、背中に受けながら。

  ✜

嗚咽が落ち着いて、少しだけ呼吸が整った様子の🌸を抱えて執務室のあるフロアに降りる。
しん、と静まり返っているフロアの奥に進み、窓から外のネオンライトが差し込む執務室に入る。

応接用ソファに🌸を下ろし、壁際のクローゼットから仮眠用の毛布を取り出して包む。
「🌸」
ぎゅっ、と毛布を握り込んで小さくなる背中を撫でる。
「ごめんな、」
手を握りたくて、力を込めている指先をそっと撫でてみるが、開いてはくれない。
頬に流れる涙を拭おうと伸ばした手を避けられた。
🌸の乾いたくちびるから、幽かな呼吸だけが感じられる。

「無理やりキスされたら怖いよな」
伸ばした手を下ろす。
「二人きりじゃなかったから、尚更、な」
少し姿勢を変えるだけで、ズ、っと体を縮こませた。
「嫌だって言ったのに聞いてやらなかった」
ごめん、と抱き寄せたくて肩に触れると、ビクッと震えて毛布を掻き寄せる。

「一人の方が、いいか?」
コク、と頷いた頭に、胸が締め付けられる。
頭を撫でようとした手をぐっ、と堪えて握り込む。
「隣の部屋に、いる」
ソファの端に寄って、全身を毛布で包む🌸から返事はない。
「おやすみ」
ズル、とソファに丸まったまま倒れ込んだ🌸から、グス、とぐずり声が聞こえて、扉を閉める前に、ごめん、と零した。
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