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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第43章 RED Force


ゲームに向きになっていたら、ベックの姿がリビングにもダイニングにもないことに気づいた。
(キッチンか?)
でもそっちには、と気を使ってキッチンにいる🌸に目線を向けると、そこにベックもいた。
キッチンに並ぶ二人を見て、程よく高揚していた気持ちが陰る。

ゲームの音や会話で騒がしいこちらからでは、二人の会話がわからない。
無表情のベックとにこやかな🌸。
切り取られたように二人の空間があるように見えて、ドク、と一度大きく跳ねた心臓から、ジワ、と滲み出るあまり馴染みのない滾り。

「レースよりシューティングしようぜ!」
ルゥの一人勝ちになる前に、と提案するヤソップに乗っかって、ベックを誘う。
「シューティングならやるだろ?賭けろよ〜」
返事をしないベックに少し息が詰まる。

🌸に進められてリビングに来たベックに、コントローラーを渡す。
じっと見ていると、横目に目線を向けてきて目があったが、ふい、と画面にそらされた。

(っなんだ、)
その目線がなんとなく気に入らない。

半分ほどグラスに残っていた酒を一度に煽った。
チラ、とキッチンに目線を向けると、カウンター越しにベックが撃破していく画面を見つめている🌸がいた。
カウンター越しの🌸が、みんな上手だね、と呟く。
少しでも近くにいたくてキッチンで座り込み見上げた。
自分にではなく、画面に微笑みかけていてイラッとする。

名前を呼んで袖を引くと、やっと目線がこちらを見る。
向けられた目は優しくて、自分の黒い気持ちが見透かされた気がして、とっさに目をそらしてしまった。
けれど、しゃがんだ🌸から香るのが、ベックが愛飲する強い煙草の匂いで、カッとした胸で強引に口付けた。

ガンッ、ガンッガン!
銃声にビクッと怯えた身体をキツく抱きしめる。
少しの拒絶を見せる🌸のそれは、銃声に驚いたのとすぐそこに人がいることによる反応だとわかっているのに、そこにベックが含まれているからか、と自分勝手に考えて激しく舌を絡める。

一つステージが終わったのか、一瞬、無音になったタイミングで、くちゅ、と少し大きく水音が鳴る。

んふ、と苦しそうに息を漏らす🌸に、名残惜しく思いながら離れる。
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