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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第42章 1,380円の恩義


「菜箸」IHだし、と30cmより短いものを選ぶ。
「ピーラー」オーソドックスなのがなんだかんだ使いやすいだろう、と自宅のものと同じ型でステンレスのものを手に取る。
「包丁とまな板」三徳とペティナイフ、生物用にまな板を一つずつ買い足す。

以前、ホームセンターで最低限だけ揃えた物との兼ね合いを考えながら手に取ったものが、右の少し後ろから取り上げられて行く。
「一人暮らし始めた頃思い出す」
懐かしい、と笑う🌸。
「俺は、新婚みたいで楽しい」
ちょっとニヤニヤする横顔を見上げた。
「キッチン用品揃えるってたしかに特別感あるね」
買っておかなかった過去の自分を褒めたい、と言うシャンクスにクスクスと笑う。

これでだいたい揃ったかな、と唇を撫でる。食器類は十分あったし、幾度か調理をしたキッチンで足りないものはこんなものだろう。
「思ったより嵩張らなかったな」
「大きいものは前にホームセンターで買えたしね」
増えた荷物に、一回車に行く?と隣を見上げる。
「あと買い足すものは?」
「んー、バス用品と...あ、あと、アトマイザー」
その程度なら持ち歩けるな、と空いた手に絡め取られる指。

「どっちから行く?」
「えっと、最後に食材買いたいからアトマイザーからかな」
均一ショップにありそう、と直営店の隣りにある専門店の方を指差す。

メイク用品のあたりに目星をつけて進む。
「あった」いくつか色のバリエーションがあるそれから、赤いグラデーションのガラス瓶を選ぶ。
「なに?」ニコニコと手を握り返してくる顔を見上げる。
「なにも言ってない」「顔が言ってる」
どういう意味だ、とケタケタ笑う声。
「赤は、昔から好きなの」
「『から』ってことは、今も好きなんだな?」
ニッ、と笑う顔にうぅっ、と目を逸らす。

コトン、と手に取ったそれを棚に戻し、クリアカラーに手を伸ばす。
「赤でいいじゃねぇか」
「なんか、癪で」
「赤にしろ」
シャンクスが赤のボトルを2つ、手に取る。
「2つ?」
「俺も、🌸の香水、欲しい」
藤のやつ、と笑いかける。
「藤の香り、好き?」「🌸の匂いだからな」
すん、と鼻を擦り寄せてくる体からするりと逃げて、お会計お願いしまーす!とレジまでその背中をグイグイと押した。
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