依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第40章 酒の酔い本性忘れず
いつものアラームで目を覚ます。
ぼんやりして目を開けると、目の前には浅灼けた肌。
筋肉質なそれを目線で撫でて、少し首を反って見上げると薄く開いた唇から漏れる寝息。
枕元に置かれた携帯に手を伸ばそうと身じろぐと、ぎゅうっと長い腕に抱きしめられる上に、布団の中でからまる脚にも引き寄せられる。
「うぐっ」
あまりにも強く引き寄せられて、息が浅くなる。
「んっちょっ、と、」
Pipipipipiと鳴り続けるアラームは、彼の耳には入っていないらしい。なんとか引き抜いた左手をのばす。
(届くわけないっ)
自宅のベッドのほぼ倍はあろうかという彼の寝室のベッド。そのサイドチェストでアラームを鳴らすスマホがスン、と鳴り止む。
(スヌーズになっちゃった)
土曜日だからいいか、と諦めて全く起きる気配のない顔を見上げる。
「んなんっ!」「なんつぅ声だよ」
ぼんやりと開けられていた目が柔く笑い、んー、と抱きつかれてスリスリと髪に頬ずりされる。
「土曜もアラームかけてんのか」
寝起き独特の掠れた低い声。
「あ、土日は当番出勤の時もあるから」
今日は違うけど、と言うと、だよな、と安心したような声が聞こえた。
あの、と見上げると、んー?と言いながらも目を閉じたまま髪を撫でる左手。
「昨日、どうやって帰ってきた?」
「覚えてないのか」
うん、と頷く。
「むしろ何を覚えてるんだ?」
苦笑いで問いかけるシャンクスに、ええっと、と記憶を辿る。
「えっと、朝送ってもらって...あ、そう!バギー社長と知り合いなの?」
ねえ、と見上げてくる🌸に、目を瞬かせる。
(そこから記憶がないのか?)
あ、と胸に額をあてる🌸が、ごめん、と呟く。
「たまぁにやっちゃうんだよねぇ。記憶飛ぶの」
疲れてるのかな、と苦笑いする顔に、ギュッと小さな体を抱き込む。
「...俺も、偶に飲みつぶれて記憶がなかったことある」
互いに気をつけような、と言うと、申し訳ない、と縮こまる🌸の額にキスをした。