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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第7章 突発的加速


タクシー運転手に宿泊先を伝えて、手元を見やる。

株式会社REDforce 代表取締役

肩書にそう書かれた名刺。仕事柄、海外とのやり取りもあるのか、いくつかの言語で所属や名前が書かれている。
彼は、これをエルに渡す時「Dr.フィアンセのためにも」と言っていたので、身元証明書としてくれたのだろう。
2枚くれたシンプルかつ洒落たデザインのそれを鞄にしまおうとして、なんとなしに右手の一枚を裏返す。
そこには、11桁の数字と英数字で構成されたメッセージアプリのアドレスが肉筆で記されていた。
左手の1枚も裏返してみたが、そこは白紙。
これは、と2つを見比べて考える。

(わざわざ2枚渡したってことは、連絡してこい、ということなのか?なんで一方に個人的な連絡先を書いたの?)
考え込むときの癖で、右手の人差し指で下唇を叩く。

印刷文字のみの名刺をサナのバッグにしまい、自分のカバンから携帯を取り出した。
メッセージアプリを開くと、アドレスを検索する。
プロフィールに設定された写真は、名刺にも印刷されている赤を基調とした会社のロゴ。メッセージ画面を開くと、少し深呼吸をして画面をタップした。


ホテルの入り口につけてくれた運転手に、料金は頂いてます、と聞き、唖然とした。
サナの靴を脱がせてツインベットの一つに寝かせてやると、バッグをサイドテーブルにおいて、旅行カバンを開く。
クレンジングシートを取り出して、サナの薄化粧を落とすと、布団をかけてやった。サラサラのシーツの感覚が心地いいのかモゾ、と身動いで「ロー、君」と呟くサナに微笑む。
彼女は朝、起きてからシャワーを浴びるだろうと、バスルームに向かう。浴槽にお湯をためて、バスセットを取りに部屋に戻ると、テーブルにおいていた自分の携帯画面が光っていた。
一瞬、どきりとして恐る恐る手にして溜息をついた。
そこには、送信元:トラファルガー・ローの文字。
詳細を開くと、やはり、サナの安否を確認する内容だった。今ホテルについて眠っていることを伝えると、明日もよろしく頼むと簡潔文だけが送られてきたので、嫌がらせにまだ送ってなかった旅行中の写真を一枚ずつ送ってやって、バスセットを手にバスルームへ向かった。
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