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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第6章 6年間の始まり02


席に戻ると、楽しそうにしていた声は潜められていた。
彼の向かいに座る🎀の様子に違和感を覚えて急いで駆け寄ると、彼女の肩には男物のジャケットが掛けられており、ハニーミルクティーが入っていた空のマグを両手で持ったまま、コクリコクリと船を漕いでいる。
一瞬、何か飲まされたのか?と疑惑が頭を巡ったが、時計を見て安堵の溜息をついた。

「つい今まで話してたんだが、飲み干した途端睡魔が来たみたいだな。そっとしてやったほうがいいかと」
「🎀、体質で23時すぎると途端に寝ちゃうんですよ」さすがにもうホテルに戻らないと、と肩を揺する。

「ん、🌸、ちゃん、ろーと、お話、終わった?」
半分寝言みたいな声の🎀に、携帯ここね、と一応声をかけて彼女のバッグにしまった。
立てるかー?と🎀に笑顔で問いかけるシャンクス。
ホテルはそう離れていないが、歩いて向かうのは難しそうだ。

「タクシー捕まえてくるから、まだ寝ないでね」
「んー?うん」
二人きりにして大丈夫だろうか、と不安がよぎったが、さっきの電話の間に彼が友人になにかやった様子はなかった。
表の通りに客待ちのタクシーがいたはず、と自身のバッグに伸ばした手を捕まれた。

「俺が行こう。夜道に女一人は危ない」
どっち方面に行く?と問われて、ホテルの大体の位置だけ答えると、ワイシャツのまま待ってろ、とカフェを出た。
もう少しだから頑張って、と睡魔に負けそうな🎀の鞄を持ってやり、手を引きながら出口へ向かう。
そこで、会計のことを思い出しテーブルを確認したが、空のカップが3つあるだけ。
近くを通ったギャルソンに声をかけると、伝票は置いたという。
(あ、まさか)
レジで確認すると、やはり「お支払いいただいています」と言われて溜息をついた。

なんてスムーズ、と店を出ると、舗道に停まるタクシーの傍らに立つ背の高い影。
先に🎀を座らせて、彼にジャケットを返す。

「あの、コーヒー代」
「いい時間を過ごさせてもらった。その分ということにしておいてくれ」
舗道で見送ってくれるつもりらしいシャンクスは、それを羽織って笑顔で拒否する。

「いや、さすがに」
バッグから財布を出す🌸に、ふむ、と考えたシャンクスは、徐ろにジャケットの内ポケットを探った。
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