依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第37章 幼馴染と腐れ縁。過去の呪縛と君への愛
走り去っていくベンツの四駆。
ハンドル上部で組んだ手に額を当てて、目を閉じる。
✜
-高校の時、一方的に好意を寄せられた男がいる-
-ストーカーか?-
-いいや、そういう陰湿な感じじゃない。 野郎自身は。🌸は妙に絡んでる奴、くらいの認識-
-ローは、そいつを知ってるのか-
-ああ、ただの喧嘩野郎で気に入らないやつにすぐ吹っ掛けるバカだ-
-なんでそんなやつが...-
-キッド君、一目惚れだって言ってたね-
-キッド?-
-バカの名前。ユースタス・キッド。
🌸の高校の後輩-
-私と同級生なの。
🌸ちゃんは3月がお誕生日だから-
知ってる。
同じ誕生日だと驚いていた顔が浮かぶ。
-そいつが?-
-学校一ド派手な男。
何故かソイツにそれなりに好意を持つ女がある一定数いる。
その男が構う女生徒は根が真面目な優等生。
あとは、想像つくだろ-
-...陰湿な方か-
-まあまあ-
ふー、と長く息を吐く。
-🌸もバカも最初こそ互いに否定してたが、何を考えたか、バカがやらかしあがって-
-キッド君の周りの子って、結構激しいっていうかキャッキャしてるっていうか、私とも🌸ちゃんともタイプが違う子達で...-
-取り巻き共で互いに牽制しあって抜け駆けさせない、みたいな変な結束力持って纏わりつく連中だったからな-
-その中で出てきた🌸の存在、か-
-バカがどういう絡み方してたかは...-
ローからの視線を受けた🎀が口を開く。
-「明るいストーカー」って感じ、かな?
昇降口で座り込んで🌸ちゃんが来るのを待って、姿が見えたら飛んでくるの。
学年も違うのに教室までついてきて、🌸ちゃんの前席を陣取って、一方的に天気のことだとか昨日のテレビのことだとかずーっとキッドくんが話してる。
予鈴が鳴り止んで、キッドくんに席取られてる先輩が困ってるのを見兼ねた🌸ちゃんが『教室戻りな』って言い出すまで、ずーっと。-
黙って聞いていたが、ローの言った「やらかし」が気になる。
-そんな関係だったんだが、バカが口を滑らせた-
-何を言ったんだ、そのバカは-
ビクッとローに抱きついた🎀に、思ったよりも低い声が出ていたことに気づく。