依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第37章 幼馴染と腐れ縁。過去の呪縛と君への愛
勤務が終わって病院を出る。従業員用駐車場で自車に乗り込むと、ジャケットのポケットに入れていたスマホが震える。
(🎀か?)
なにかお使いでも頼まれるんだろうか?とキーを回しながらスマホを取り出す。エンジンが起動してナビの画面が明るくなる。
パッと画面に表示された名前。
「は?」
赤髪(REDForce)
数ヶ月前、🌸の自宅で話をしてから幾度かやり取りはあった。その件に関しては絶賛、病院経営陣に猛打診中なのだがなかなかGOサインを出さないので膠着案件になっている。
その後の進捗でも気になったか?とハンズフリーにできるようにして「応答」をタップする。
-ローか?今、時間いいか-
こちらが話す前に聞こえた声の低さに顔を顰める。
「構わないが帰宅途中で運転中だ」
-ああ、じゃあ病院にはもういないんだな-
いてほしかったのか?と訝しんで、それで?と出発しかけたのをやめた。
「駐車場にはいる。なんかあったのか?」
-🌸の事なんだが、-
ん?とそこにいるわけでもないのに画面を見やる。
「🌸がなんだ?」
-昔、過呼吸を起こしたことがあるか?-
過呼吸。その単語に鮮明に思い出される過去。
🌸には、赤い髪の男を引き寄せる何かが備わっているのだろうか?
「あー、あるにはあるが...」
-両親絡みか?-
口ぶり的に🌸と両親の関係性は知っているらしい。
ふん、と早く鼻から息を吐き、いいや、と応える。
-原因を知っているなら、教えてほしい-
なるほど、と状況を整理する。当初の懸念とは違う方面でややこしくなってそうだ。わかることは、赤髪が🌸の発作に立ちあったという事。
「あんた、何やらかしたんだ」
しばらくの無言。
「🌸との今の関係、誰かに話したか?」
答えがないのはYESだろう、と踏んで思考する。
「今、どこにいる?」-🌸の部屋だ-
ふむ、と時間を見て、20分後に最初のコンビニ、と伝える。
通話の終わった携帯を手に取る。調理中かも、と考えながら最愛の妻に電話をかける。
-ロー君、お仕事お疲れ様!-
「🎀、悪い。帰ったらすぐ出れるか?」
-え?うん、いいよ?-
「今から病院出る。帰ったら詳しく話すから」
-はーい!-
妻が素直な性格で良かった、と車を発進させた。