依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第33章 明かされた秘密
傷を負ったのは、その頃?
その質問に、シャンクスはビクリ、と明らかに動揺した。
彼に任せよう、と静かに待つ。
「ある会社に業務提携できないか提案しようとしたんだ」
くっと歪んだ左目。
「向こうもうまく隠していたんだが、締結直前に、良くないモノを扱っている裏稼業みたいなもんを持っていると知った。それでこちらから持ちかけたのは承知で計画は一旦、畳むことにしたんだが、ちょっと揉めた時にざっくり」
「『ある会社』って?」
彼が誤魔化したのはわかっていたが、聞かずにいられなかった。
「ちゃんと話すから、約束してくれ」
ギュッと握られた右手で、左手を握り返して頷く。
「仲間だろうと容易く切り捨てる奴だ。もし、🌸が俺と親しいと知ったら、何をしてくるかわからない。何があっても守ると約束する。だから、下手に探ろうとしたり関わり合おうとするな。俺は、もう🌸を離してやれないから、せめても、🌸だけは守る」
約束だ、と強い瞳で見つめる彼に頷く。
「【ボックス】という会社に聞き覚えがあるか?」
「ボックス...」
単語として馴染みはあるが、企業としては知らない。ゆっくりと首を横に振る。
「【ベルオブジーベック】」
シャンクスが発した単語を、何度か脳内で復唱して、また横に首を振る。
短く、早く息を吐くと、🌸の腕を引いて、膝の上に横抱きで乗せる。
「海上貨物輸送業の会社だ。表向きは所有するコンテナ船やばら積み船での輸入品の石油や穀物の運搬を主な事業としている」
輸送業、と聞いて、彼の言った「裏稼業」になんとなく予想がつく。親指と人差指を立てた手を見せた。
「じゃあ、裏稼業って密輸?」
「チャカもあるだろうな。あとはE、H、S...幹部にスジ者やヌケが多いのが理由だろうけど」
「ごめん、話の半分もわからない...」
チャカは拳銃よね?という首を傾げている🌸の髪を撫でて、知らなくていい、と抱き寄せる。
「世間に出回るとまずいもんを、はみ出し者組織が扱ってるってことだ。特に🌸は関わると良くない。出逢った時だって危なかっただろう」
首を傾げる🌸。
「声掛けてきた男たちの腕、見てたか?」
内出血があっただろう、と自分の右手の肘の内側を示す。
「え、そうだった?」
眉根を寄せる🌸。