依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第31章 茶と白。赤と白。
夕食を作って欲しい、と言ったシャンクス。
じゃあ、うちに行く?と🌸が言うと、少し考えて、こっちじゃ駄目か?とシャンクスの自宅を希望した。
「いいけど、キッチン使っていいの?」
自炊の痕跡が一切見られなかった、展示場と見間違う綺麗さのキッチンを思い出す。
「好きに使っていい。調理器具が殆どないが、ケトルとレンジはある」
「調理器具無いの?」
料理できない、と困った顔をする🌸の手を取って指を絡めると、だから今から買いに行く、といつかのように滑らかな手の甲に頬を擦り寄せたあと、ちゅ、と軽く口付けた。
✜
「こだわりない?」
色とか、という🌸の隣。
生鮮食品売り場とホームセンターを併設する店のキッチン用品売り場で、ない!と断言して首を横に振るシャンクス。
「🌸が使いやすいもので揃えていい」
任せる、と微笑み下ろされて、🌸は正面に向き直った。ズラッとならぶ様々なフライパン。自宅で使っているものに近い22~26cmのものを確認する。
「コンロ、IH?」
キョトン、としている隣に、火が見えるコンロ?見えないコンロ?と聞き方を変える。
「見えない」
IHか、と対応しているものに絞る。
「なんか変わるのか?」
「IHなら、銅製、アルミ製、土鍋は使えないよ」
あと足つきのミルクパンとかも、といくつか手にとって、これがいいかな、と24cmの「IH対応」と書かれた一つに絞る。
「さっぱりわからん」
難しい顔をするシャンクスに、ふふ、と笑って、深めの鍋を見る。
「お米、どうしようかな」
炊飯器か鍋炊きか、という🌸に、鍋!と即答するシャンクス。
「保温、効かないよ?」
「🌸が家でやってるのと同じがいい」
レンジがあるからいいか、と茹でや煮込みにも使える炊飯釜を買う。
基本の調理器具を揃えるだけでも結構な値段する。
量販店で低価に買えるものもあったが、移動をめんどくさがったシャンクスは、ここで揃えちまえ、と一式を選ばせた。
精算時、🌸が選んだ記憶のない、箱に収まった夫婦箸に隣を見上げる。淡々と精算を済ませている横顔に、ふふ、と笑い零したら、繋いだ手をギュッときつく握られた。