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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第31章 茶と白。赤と白。


ガラスドアの通用口から少し戻って、外からは見えない廊下の角でくるくる回る。
(さっきローの言葉を思い出したのはお告げ?なんでスモーカーさんが...連絡しなかったこと、心配したのかな)
スモーカーと交際していた頃を思い出す。

慣れない仕事に手間取って、デートの約束に遅れることがあった。
事前に連絡する余裕もなくて、庁舎から出て慌てて携帯を確認すると、なにかあったのか?と一言だけのメッセージ。
急いで待ち合わせ場所に向かって、開口一番に仕事が終わらなかったこと、遅くなったことを詫びると、事故とかに遭ってないならいい、と笑うでも怒るでもなく、静かに煙草を咥えながら、猫に触れるようにそうっとした手つきで頭を撫でる。

(懐かしいなぁ)
5つ年上のスモーカー。それより2つ年上のシャンクス。
対象的な二人だ。
物静かだけど熱血漢。口数は少ないけれど、自分が守ろうと決めたものは、何を犠牲にしても守り抜くスモーカー。
飄々としていつも人を誂う調子者。自分の思いに素直で、まっすぐにその気持ちをぶつけてくるシャンクス。

雲と海のような二人。
見る人によってその形の見え方や捉え方が異なる雲。青空が好きな人には煙たがれるけど、日照りの強い時は重宝がられる。
気持ちが落ち着かない時、眺めたくなる海。荒れ狂う波で叱咤してくるときもあれば、穏やかな波打ち際で励ましてくれもくれる。


通路を少し戻って、資料室の前に立つと、携帯を開いた。
執務室を出る前に打った返事。シャンクスは既読していて、スモーカーは未読のままだ。
スモーカーが既読をした。返信を待ったが一向にこない。
しばらく携帯とにらめっこしていたらシャンクスから返信があった。頷いていたライオンが、裾の長い詰め襟を着て、サングラスに煙草を蒸かしながらしゃがみこんでいる。
多分、喫煙所にいることを示したかったのだろう。

どんな顔してこの可愛いものを送っているのだろうか、と少し顔を覗かせたら、駅に向かっていくスモーカーの背中と真顔で煙草を咥えて携帯を注視しているシャンクスの横顔が見て取れた。
スモーカーの背中が見えなくなったのを確認して深呼吸すると、笑顔で警備に挨拶をして煙草を咥えたまま俯いているシャンクスに歩み寄った。
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