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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第29章 それはすでにエピローグ


結局、悩んでいるうちにお昼休みが終わってしまって、午後は明日の開館に備えて館内を動き回っていたので、携帯を見る暇がなかった。
自席に戻ったのは終業30分前で、机上には回覧や戻り起案が積み上げられていて事務作業に追われた。

終業ベルと共に一段落した仕事にマグの紅茶を飲み干すと、新規のメッセージ。どっち?と恐る恐る確認したら初期設定画像のアカウントにバッジがついていた。

[来れるなら18時にM・C]

少し悩んで、今日は予定がある旨を打ち込んでいたら、また新規メッセージ。
画面上部に、赤を基調としたロゴと[仕事はどうだ?今朝の駐車場で待ってる]の文章。


えっと、と少しフリーズして返信の続きを打つ。

[今日は少し残業があります。ごめんなさい。たしぎちゃんによろしくお伝えください]

2回読み返して送信する。嘘をついてしまったことに後ろめたさがあったが、素直に言えば説明を求められそうなので誤魔化した。
画面をもどしてシャンクスのアカウントを開く。

[今から片付けなの。少し待たせるけど大丈夫?]

了解、というワードと共にお昼と同じライオンがコクコクと頷いている。


元彼にわざわざ新しい彼ができたことを報告する義務もないし、知らされたところで知ったこっちゃないって話だろう。
シャンクスには元彼のことは話しているし、気にしている様子もない。
(その辺は大人だよなぁ)
彼にだって元カノがいる。
気にならないと言ったら嘘になるが、知らぬが仏という言葉もある。このあたりのことは、変に詮索してもされても、結局お互いにいいことなんてないのが世の常。

パソコンを閉じて、散らばった文具を片付ける。

 -お前の職業上、関わるべきじゃない-

(え?)
突然思い出したのは、彼と初めてあった日に、腐れ縁に言われた言葉。その続きが、無意識に浮かぶ。

 -裏社会との繋がりが深い-

今朝会って、ついさっき返信を出した警察組織所属の元彼。

なんで今、思い出すの?と、ゆっくりとした足取りで職員通用口を出て駐車場に向かおうとしたところで、立ち止まる。

白銀と赤銅。

対象的な色の髪を持った二人が、これまた対象的な白と濃茶のタバコを喫煙所で蒸かしていた。
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