• テキストサイズ

依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第29章 それはすでにエピローグ


本庁からの連絡メールの確認と回覧。
週明けにルーティンで設定されている起案。
別課から回される立案書。幾度か鳴る電話の対応。
いつも、休み明けの午前中は結構慌ただしくて、つい、溜息が出る。

一瞬で終わった午前中に、朝からバタバタしたもんな、と自席で昼食の用意をする。
あー、とサンドイッチを口に入れようとした時、デスクの引き出しに入れていた携帯が鳴ったので確認する。

[サンドイッチ、美味かった。また頼む]
彼とのやり取りの新着に、情けない顔で土下座している赤毛のライオン。
「んふっ!」
ふふっ、と堪えきれない笑いに、サンドイッチをランチボックスに戻す。込上げる笑いが止まらなくて、息が苦しい。
(ライオン、なんでライオン...そして、絵のタッチが可愛い)

くつくつと笑いを押し殺していたが、彼がライオンのきぐるみを着て「がおー」と笑顔で向かってくる妄想に堪えきれなくなって、携帯を掴んで無人であることが多い資料室に駆け込んだ。

ひーひー言いながら落ち着いてきた頃、再び画面を見てふふ、と笑う。
「もう、ほんと。」
かっこいいんだかかわいいんだか、と口角を上げたまま、深呼吸する。彼に返信をしてから今やり取りのあるアカウントとのリストへと画面を切り替えると、別のアカウントからメッセージが来ていて、ドキリとする。
自社のロゴをプロフィールに設定している彼のすぐ下。
写真は未設定で名前は「スモーカーさん」。

業務ですっかり頭から抜け落ちていた。今朝、再会した元恋人。
数文字だけ確認できるメッセージには
[アカウント変わってないか?]。
恐る恐る開くと、それだけの吹き出しに既読がつく。
相変わらず、要件だけのシンプルなメッセージ。
少し考えて[変わってないですよ]と、付き合っていた頃と変わらない敬語で返信した。多忙でまともな昼休みも取れない人なので、返信は来ないだろうと思っていたら、即既読がついて返信が来た。

[今日、暇か?]
え、と固まる。数秒もしないで追加メッセージ。
[たしぎがお前に会わせろとうるさい]
その名前に、ホッとする。彼の現部下で後輩。
随分慕ってくれていて、時たまに二人で食事をしながら彼女から彼への愚痴を聞くのはルーティン業務だ。

今日は、と今朝のやり取り思い出す。
終わったら連絡しろ、とは言われたが会う約束はしていない。
/ 290ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp